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東京海上H、リスク分散へ新興国など海外で買収機会を模索-CEO

  • 保険種目や地理的な広がりによる多様化へ積極的に案件検討
  • コロナ禍では小規模のボルトオン型M&Aが先行する可能性高い

東京海上ホールディングスは、保険種目や地理的な広がりによる多様化に向け海外での買収機会を模索している。自然災害による業績全体への影響を緩和させリスク分散を図るため、米国などの先進国だけでなくアジアを含む新興国でも積極的に案件を検討していく方針だ。

  小宮暁グループCEO(60)がブルームバーグとのインタビューで語った。合併・買収(M&A)の相手先企業について、経営目的の共通性や業績見通し、ビジネスモデルを重視すると説明。「世界の戦略マップは持っており、ロングリストとショートリストがあるが、条件を満たすところでチャンスがあれば」考えたいと述べた。

Tokio Marine Holdings Inc. President Satoru Komiya Interview

インタビューに答える小宮グループCEO(7月6日)

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  同社の2008年以降の大型買収案件5社の買収総額は2兆1000億円に達する。一連の買収の結果、海外事業は利益の約半分を占めるようになった。

  20年に約31億ドル(現在のレートで約3400億円)で買収した富裕層向け保険のピュアグループなど、近年買収が続いた米国については、各対象企業が主軸とする保険商品やマーケットが違うため分散効果が働くとした上で、「米国ほどの厚いマーケットではまだまだ(買収の機会は)あるのではないか」と話した。

  アジア市場については、世界の損害保険市場でアジアが占める割合に比べると、東京海上Hの事業のうち同地域が占める割合は低いとして、新興国市場でも買収を通じて事業を拡大する可能性はあるとし、オーストラリアについても「非常に魅力的なマーケット」との見方を示した。

  新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限が続く中、短期的には経営幹部が直接関わる大型買収よりも、現地子会社が手掛ける小規模のボルトオン型(既存事業の補完的)M&Aが先行する可能性が高いという。同社は対象先の経営陣との「ケミストリー(相性)」を重視するが、「実際に会って膝を突き合わせないと分からない」。コロナ禍ではそれが困難だからだ。

  破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルとの保険取引について、東京海上Hは、今後の業績への影響は限定的としている。小宮氏は、外部の専門家も入って社内的に十分な調査をしており、さらに必要な調査があれば続けるとし、それ以上は個別契約の内容についてコメントできないと述べた。

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