ECB政策委員会、中期のインフレ上振れリスクを広く認識-議事要旨
Alexander Weber-
サプライチェーン問題や貯蓄増、気候変動対策が物価押し上げる恐れ
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今年の一時的なインフレ高進には反応せず、政策委員は幅広く合意
欧州中央銀行(ECB) 政策当局者は、今後数年間のインフレ率が予想より上振れする可能性を認識している。ユーロ圏経済は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から回復を続けているが、依然として大きな不透明感があることを浮き彫りにした。
ECBが9日公表した6月9、10両日の政策委員会会合の議事要旨によると、これまでに明らかにしている中で最も先の予測である2023年のインフレ率について、「上振れリスクが生じているとの幅広い認識があった」という。
ECBは23年のインフレ率を1.4%と予測しており、新戦略が定めた新たなインフレ目標の2%を下回る。だが、会合ではサプライチェーンのひっ迫や家計貯蓄の増加による影響が議論された。各国政府が価格を押し上げる恐れのある気候変動対策を取らざるを得なくなる可能性も、議論に上った。
政策委員らは今年の一時的なインフレ高進には反応しないことが重要だとの認識でも幅広く合意した。オランダ中銀のクノット総裁やドイツ連邦銀行(中央銀行)のワイトマン総裁らは、現在の見通しには上振れリスクがあるとこれまでに指摘している。
この会合でECBは、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の資産買い入れを9月まで高ペースで継続すると決定した。次回の政策発表は22日。さらに次の9月の会合後には最新の経済見通しを発表する。
原題:
ECB Officials Widely See Upside Risk to Medium-Term Inflation(抜粋)
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