コンテンツにスキップする
Subscriber Only

バイデン大統領の対中強硬姿勢、就任半年で鮮明-関係は悪化の一途か

  • 香港や新疆ウイグル自治区、台湾の問題が米中の主な火種に
  • 米国の動きは中国の台頭を阻止するのが狙いと北京の指導部

1月20日の政権発足から約半年が経過し、バイデン米大統領は中国に対し厳しい政策を繰り出している。一連の展開を踏まえると、世界の2大経済大国の関係は悪化の一途をたどることになりそうだ。

  過去数日間の米国の措置からは、バイデン政権がトランプ前政権の対立的な対中姿勢を継承し、深化させる方針であることが浮き彫りとなる。

  具体的には、香港で事業を行うことのリスクが高まっていると米企業に警告する計画や、新疆ウイグル自治区での人権侵害に絡んだ新たな禁輸措置、中国を排除した形でのインド太平洋地域のデジタル貿易協定の検討などが挙げられる。

President Biden Delivers Remarks On Voting Rights

バイデン大統領

Photographer: Michelle Gustafson/Bloomberg

 

  バイデン政権当局者は米国の戦略について、中国自体の攻撃的な態度への反応だと説明する。こうした姿勢は、大統領自身が21世紀の決定的な闘いと位置付ける状況に置かれた投資家や企業に難しい選択を強いるとともに、民主党政権下でもっとソフトなアプローチを予想していた人々には驚きかもしれない。

  TCWグループの新興市場担当マネジングディレクターを務めるデービッド・ロービンガー氏は、「バイデン政権下の米国がトランプ前政権およびそれ以前の傾向を続けるのは極めて明白だ。投資家は違ったアプローチを期待していただけに多少の失望感がある」と話した。

  中国政府当局者も混乱に満ちたトランプ前政権の場合とは異なる展開を期待していたかもしれない。しかし、バイデン政権当局者は、習近平国家主席の指導部による一連の敵対的行動を列挙し、それらが米国側に行動を強いることになったと指摘するとともに、今の課題は米中関係を衝突ではなく競争の領域にとどめることだと語った。

President Biden Participates In Virtual Leaders Summit On Climate

習近平国家主席

Source: White House/Bloomberg

  両国の最近の行動は、こうした課題の実行がいかに困難なものであるかを示している。

  中国指導部はこれまでのところ、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の発生源の調査で協力する可能性を完全に否定。台湾に対しては領空侵犯を繰り返し、香港では自由の弾圧を進めている。西部の砂漠地帯には新たなミサイルサイロを建設中で、核兵器備蓄増強の取り組みがうかがわれる。

  このほか、新疆ウイグル自治区ではイスラム系の少数民族ウイグル族の人権侵害が続く一方、米国での新規株式公開(IPO)から間もない配車サービスの滴滴グローバルを対象に中国規制当局がサイバーセキュリティーに関する調査に踏み切り、同社株が急落したことで西側投資家は多額の評価損を被った。

  これに対し中国の当局者は、米国こそが攻撃的だと反論する。中国の戦略について匿名で語った同国当局者の1人は台湾などに関する米国の行動について、同国が中国の台頭を阻止する決意であるという、北京の指導部内で広く共有される見方をまさに裏付ける形となっていると指摘。米国が銃を下ろさない限り、中国も同様に振る舞うと強調した。

  事情に詳しい3人の関係者が明らかにしたところでは、シャーマン米国務副長官は今月末までに北京を訪問する予定。3月にアラスカで行われた米中の外交トップによる会談よりはましな結果となることを米当局者は期待するが、特に今後数年間に予定される注目度が高く火種となるイベントを考慮し、大幅な関係改善には悲観的だ。

  米国では2022年北京冬季五輪のボイコットの呼び掛けが強まっている。同年に行われる米中間選挙で対中強硬姿勢を唱える声は強まる一方と予想される。中国では、来年予定される5年に1度の共産党大会で3期目を目指す習主席が米国への態度を硬化させる公算が大きい。

  バイデン大統領は就任後にまだ習主席と対面での会談を行っておらず、10月にローマで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議で両首脳がどの程度の交流を図るか、当局者も決めていない。

  ジャーマン・マーシャル財団でアジア・プログラムのディレクターを務めるボニー・グレーザー氏は、この局面で米中首脳会談が行われるとすれば、その主要な目標はダメージコントロールになるだろうとの見方を示した。

ウェンディ・カトラー氏が米中関係などについて発言

Daybreak: Asia.” (Source: Bloomberg)

原題:Biden’s Sharp-Elbows China Policy Hints at More Trump-Style Pain(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE