米国人投資家の姿勢一変、中国株は持つべきでない-政策リスクを認識
Sofia Horta e Costa-
ジョージ・ソロス氏もキャシー・ウッド氏も今や中国株を避けている
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中国の政策が現時点で最大のリスク-BofA調査で約16%が回答
米国人投資家にとって中国株は持つべきではない資産になりつつある。
ジョージ・ソロス氏のような影響力のある投資家が中国エクスポージャーを縮小し、キャシー・ウッド氏の「アーク・イノベーションETF(上場投資信託)」はもはや中国株を保有していない。
米証券取引委員会(SEC)への四半期報告、いわゆる「13F」によれば、中国株で多くの投資家が損失に見舞われた。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のファンドマネジャー調査では、中国株の下落を見越した取引が重視されていることが判明。ロンドンでは投資会社マーシャル・ウェイスの共同創業者ポール・マーシャル氏が「中国企業の米国預託証券(ADR)は今や、投資不可能と言える」との認識を示した。
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今年に入りMSCI中国指数は27年ぶりの高値に上昇。世界的な投資家が中国本土株にかつてないほどの資金を投じていたことを考えると、このところの動きは投資スタンスの大転換だ。
中国政府は所得の規制や再分配を含む「共同富裕」を目標に掲げ、この実現を脅かす業界を標的としており、世界のファンドマネジャーは巨額の損失に直面。MSCI中国指数は米S&P500種株価指数に対し2005年以来の安値水準となっているにもかかわらず、売りは今週も続いている。
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中国株を巡る規制圧力は米国でも強まっている。ゲンスラーSEC委員長は中国企業への投資リスクについて警告を発し、SECの事務方に中国企業が上場に用いるペーパーカンパニーの新規株式公開(IPO)承認を当面「停止」するよう指示した。
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BofAの最新ファンドマネジャー調査によると、約11%の投資家が「中国株に対するショート(売り持ち)」をマネーが最も殺到する取引と見なし、約16%が今は「中国の政策」が最大のリスクだと答えた。7月時点で中国の政策をリスクだとしていた回答はほぼゼロだった。
中国株売りが意味するのは、時価総額ランキングでの中国企業の後退だ。上場企業で世界のトップ10入りしている中国企業は今や10位のテンセント・ホールディングス(騰訊)だけで、米ビザに追い抜かれそうな状況にある。
中国株の下落を好機と捉える投資家もいる。アバディーン・スタンダード・インベストメンツのアジア部門会長を務めるヒュー・ヤング氏によれば、同社はテンセント株を押し目買いし、他の中国大手テクノロジー銘柄も大半の保有を続けている。中国では「戦略的に何も変わっていないと思う」と同氏は述べ、規制は責任あるプレーヤーに恩恵をもたらすと指摘した。
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原題:Americans Turn Against China Stocks as Crackdown Angst Deepens(抜粋)