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自動車業界の減産は一過性、下期に挽回へー日産系部品のジヤトコ

  • 部品巡る状況は刻々変化、想定超える未曽有のチャレンジー中塚社長
  • トヨタの大幅減産で市場に衝撃走るも、自動車各社は通期計画を維持

日産自動車子会社の変速機メーカー、ジヤトコの中塚晃章社長兼最高経営責任者(CEO)は、コロナ禍や半導体の供給不足の影響で自動車各社が減産を余儀なくされているものの、下期(10月ー2022年3月期)に挽回できると想定していると語った。

Inside A Nissan Assembly Plant Ahead Of Markit Manufacturing Figures
部品不足でジヤトコの親会社の日産も影響を受けている(米テネシー州スマーナ、5月18日)
Photographer: Luke Sharrett/Bloomberg

  中塚社長はブルームバーグとの2日のオンラインインタビューで、東南アジア各国でのロックダウン(都市封鎖)に起因する部品不足や長引く半導体不足の影響が「本当にいつまで続くのか先が見えない」と強調。その上で、上期(4ー9月期)の自動車メーカーの生産減は一過性で、「年度内には戻ってくるとわれわれの事業計画上では見ている」と語った。

  これまで世界的な半導体不足による生産への影響を限定的な水準にとどめていたトヨタ自動車が東南アジアでのコロナ禍に伴う部品供給不足を受け、9月の生産を4割減とすると発表したことで投資家の間には衝撃が走った。

  トヨタや日産など自動車各社は通期の生産や販売計画を変更していないが、下期で挽回する計画の実現性に対して市場には警戒感が残っている。

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  中塚社長は現在の部品不足の実情について、「こういうところでもこんな部品が使われているのか、というのが結構あって、今まで経験したことがないようなサプライチェーン(部品供給網)上で今まで経験したことがないようなチャレンジがある」と指摘する。

  ジャトコも含めて自動車業界では2011年の東日本大震災を受けて供給網の見直しを進めてきたが、中塚社長は今回の問題は「全ての想定をちょっと超えている」との見方を示した。足下でも部品供給を巡る状況は日々変化しており、対応に追われる完成車メーカーの「苦労はわれわれの比ではないだろう」とも述べた。

  新型コロナ感染拡大の影響などでジヤトコの20年度の連結営業利益は186億円と19年度の281億円から大幅減となった。中塚社長は今期業績は半導体やコロナの影響で19年度の水準までは回復しないものの、前期実績を「かなり超していく」と見込んでいると語った。

  日産自動車はジヤトコの株式を75%保有。日産とアライアンス(企業連合)を組む三菱自動車が15%を持ち、残りの10%をスズキが保有している。同社のウェブサイトによると、株主の3社に加え、日産と提携関係にある中国の東風汽車や仏ルノーなどを主要納入先とする。

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