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東電HDの再エネ子会社、環境債の継続発行や他社との連携推進へ

  • 再エネ事業開発で2030年度までに約1兆円必要ー東電RP文挟社長
  • 柏崎刈羽原発の再稼働が見えない中、東電HDは再エネ拡大に活路

東京電力ホールディングス(HD)子会社で再生可能エネルギーを手掛ける東京電力リニューアブルパワー(RP)は風力発電の拡大に向け、グリーンボンド(環境債)の活用や他社との連携を進めていく方針だ。

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文挟誠一社長
Source: TEPCO Renewable Power Inc.

  東電RPの文挟誠一社長は3日のブルームバーグのインタビューで、再エネ事業開発で2030年度までに1兆円程度必要になると述べた。グリーンボンドによる調達だけでは足りない可能性があり、他社との共同出資やプロジェクトファイナンス、事業統合などの選択肢を「全部テーブルに載せて検討を始めている」と明らかにした。

  東電HDは、福島第一原子力発電所事故に伴う廃炉や賠償など約16兆円の関連費用を捻出するため、収益力の改善に取り組んでいる。だが、相次ぐ不祥事で柱になるはずの柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働見通しが立たないため、再エネ事業の拡大に活路を見いだそうとしている。

東電HDの収益向上は道半ば
 
 

  東電HDは7月に発表した新たな再建計画で、30年度までに約600ー700万キロワット(kW)の再エネ電源の開発目標を掲げるが、中心となる洋上風力には数千億円規模の資金が必要だ。東電RPは、共同出資会社やコンソーシアムを通じて千葉県銚子沖秋田県沖での洋上風力発電の開発を目指している。

  再エネ事業の資金調達に向け東電RPは9日、初のグリーンボンドを発行する。旺盛な需要を背景に、発行額は当初予定の3倍となる300億円になった。文挟社長はグリーンボンド債を継続的に発行したいとし、調達額は「市場と相談しながら考えていく」と述べた。その上で、足りない資金は「直接銀行から借りるのも一つの方法としてある」と語った。

東電RP初のグリーンボンド条件決定、利率0.18%の3年債に需要 (1)

  文挟社長によると、資金確保や事業規模拡大の手法でモデルになる可能性があるのは、東電HDと中部電力の燃料・火力発電事業を統合したJERAだ。「候補はこういうところというのは当然ある」としながらも、具体的な話し合いは始まっておらず、相手方となり得る企業名の言及は控えた。

  事業統合について文挟社長の考えは、「あくまでも相思相愛でないとできない」が基本だ。このため、「一辺倒ではなく、われわれ単独で行くことや地点ごとにSPC(特定目的会社)でやっていくことも考えられる」という。

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