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トヨタショック再び、コロナ禍で追加減産-部品供給混乱続く

更新日時
  • 9月に最大4日間の追加稼働停止、17日から月末まで9工場10ライン
  • トヨタといえども先読めず、株価へのマイナス影響大きい-識者
Manufacturing at a Toyota Kirloskar Motor's Factory as Automaker Halts India Expansion Due to Taxes
Photographer: Dhiraj Singh/Bloomberg

トヨタ自動車は10日、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大の長期化による部品供給の混乱や半導体供給の逼迫(ひっぱく)で、従来は930万台としていた今期(2022年3月期)の生産台数見通しを「900万台レベル」に引き下げると発表した。

Toyota Factories and Headquarters as Chip Shortage Forces Production Cut
トヨタ本社(愛知県豊田市、8月23日)
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  8月に発表した稼働停止予定に加えて、追加で9月17日から9月末までの間に主力拠点の高岡工場(愛知県豊田市)など9工場10ラインの稼働を最大4日間停止する計画も発表した。10月の計画については9月中旬に発表するとしている。

  トヨタは先月、部品供給不足により9月に大幅な減産を行うと発表。それまで半導体不足による影響が限定的だった同社が大規模な減産を余儀なくされたことで、市場には衝撃が走った。前回の発表から1カ月もたたない中、同社が追加減産を迫られたことで他の完成車や部品メーカーの株価などにも再び影響が広がる可能性がある。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは「マグニチュードとか印象からすると今回の方がびっくり」とし、「トヨタといえどもきっと先が見えない。それだけ現地の情勢が流動的だということ」と語った。トヨタでさえ通期生産台数を見直さざるをえない事態となり、他の自動車メーカーの状況がより一層懸念されるとの見方を示した。

  トヨタによると、東南アジア各国でのロックダウン(都市封鎖)などの影響により工場の稼働維持が難しい状況にあり、現在は可能な限り他地域への生産移管を進めているという。同社の熊倉和生調達本部長はオンラインで、8月に発表した減産と同様、マレーシアとベトナムの感染拡大の影響が大きいと指摘した。

  熊倉氏によると、今回の見直しに伴い当初90万台としていた9月の生産計画は45%以上減少し、10月も88万台の当初計画から約4割減となる見通し。11月以降の見通しは不透明なため、通期の見通しにはこれまでの水準を維持した生産計画を織り込んでいるという。

市場の期待

  熊倉氏は、減産分については可能な限りばん回を図っていきたいが、今期後半の生産「計画自体が高いレベルで、その中でどれだけばん回できるかを工場、生産部門と連携して詰めていきたい」と語った。

  トヨタの近健太最高財務責任者(CFO)は、減産が通期業績の下押し要因となると認めた一方で、販売費などの固定費を抑制できていることや為替相場が想定よりも円安水準で推移しているといった要因を踏まえると、2兆5000億円としている営業利益見通しを「修正する状況ではない」との考えを示した。30兆円としている売上高見通しも修正しないという。

  ブルームバーグが集計したアナリスト19人の通期営業利益の予想平均値は3兆1076億円、売上高は31兆5850億円。

  吉田アナリストは、保守的な業績予想を示す傾向のあるトヨタの決算が会社予想値よりも上振れするとの市場の期待感は「急速に下がる。そういう意味では株価に対するマイナスインパクトは大きい」と語った。

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(会社側や識者のコメントを追加して記事を更新します)
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