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ECB、PEPP後の資産購入にも柔軟性が必要な可能性-仏中銀総裁

  • 量的緩和、購入額引き上げよりも柔軟性拡大で効果増す
  • インフレ見通しは金融政策支援の継続を正当化-ビルロワドガロー氏

欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、ECBが将来の資産購入プログラムにおいてもパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の柔軟性の一部を維持することを検討すべきだとの考えを示した。

  同総裁は会合での録画スピーチで、インフレ率は中期的に2%の目標を下回る見通しであることから、来年3月に想定されているPEPP終了後も非常に緩和的な金融政策が続くだろうと述べた。

  ECBがPEPPの特徴を残すようにすべきだと同総裁は主張した。PEPPは通常の量的緩和(QE)に比べ、購入の資産クラスや対象の国についての柔軟性が高い。月々の購入額も設定されず、当局者は金融環境の変化が発生した時にその場所で対応できる。

 

Policy makers have been relying on bond-buying and long-term lending
 
 

  ビルロワドガロー総裁は、「PEPPのこの柔軟性の少なくとも一部の要素をわれわれの『バーチャル』なツールボックス内に維持すべきか、維持するとしたらどうするべきかを検討するのは意味のあることだ」と語った。「それがあるということ、理論的には活用が可能だということが、恐らく実際には使わなくて済むことを意味するだろう」と述べた。

  ECB政策委員の一部は将来の金融緩和策をそのような条件で活用することに慎重だ。ミュラー・エストニア中銀総裁は先月、「PEPPにあった柔軟性をそのまま、別のプログラムに移し替えることはできないと思う」と述べた。

Key Speakers at The MEDEF Business Conference
ビルロワドガロー・フランス中銀総裁
 

  ECBは既に、パンデミック後の緩和策への移行を準備。事情に詳しい関係者によると、PEPP終了後の新たな債券購入プログラムを検討している。決定は12月に行われる見込み。エコノミストらは従来の資産購入プログラム(APP)の月間購入額の拡大などを予想している。

  ビルロワドガロー氏は「APPは決まった額の引き上げよりも、時間とともに購入の柔軟性を何らかの形で加えることでより有用になるかもしれない」と論じた。

  「流動性のバックストップ」として、条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を継続することに賛成だが、条件の慎重な微調整が必要だとの考えも示した。

  ユーロ圏の成長は予想よりも力強く、経済は年末までに新型コロナ禍前のレベルを超えるだろうとする一方、インフレ見通しに関する不確実性は高まっていると指摘した。

  供給ボトルネックは今後数四半期で和らぐだろうが、「正確なタイミングは不確実だ」と述べた。インフレを持続的に押し上げる賃金上昇スパイラルの「兆候は数少ない」との認識を示し、「この点から、2023年のインフレ率が目標に届かないリスクの方が超えるリスクよりも依然として高いのは明らかだ。従って、緩和的な金融政策の継続が必要だ」と主張した。

 

原題:
ECB May Need PEPP Flexibility for Future Stimulus, Villeroy Says(抜粋)

 

 

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