債券投資家、インフレとテーパリングの二重苦-プラスリターンは困難
Finbarr Flynn-
世界の債券の大半、向こう1年のリターンはマイナス見込み-BI
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今年これまでで既にマイナス4.4%-2005年以来の大幅損失
世界の債券投資家は債券にとって伝統的な敵であるインフレに直面している。それに加え、主要な中央銀行は債券購入の削減(テーパリング)や政策金利の引き上げに向かっている。悪条件が重なり、投資家には避難場所がない。
米国債、欧州債、英国債、新興市場債はいずれも、来年9月末までの1年間に投資リターンがマイナスとなる見込みだ。わずかに支払われるクーポンでは、利回り上昇の悪影響に対抗できないとブルームバーグ・インテリジェンス(BI)が予想した。
世界24カ国の投資適格級の国債および社債をカバーするブルームバーグ・グローバル総合指数によれば、今年これまでのリターンは既にマイナス4.4%。同期間として2005年以来の大幅損失だ。
BIのチーフ新興市場クレジットストラテジスト、ダミアン・サソワー氏(ニューヨーク在勤)は「固定利付きと言うが、どこに利が付いているのかという問題だ」と話す。
インフレ期待を押し上げているのは、 エネルギーの高騰とサプライチェーンの混乱、中銀の刺激策の影響だ。米国の10年物ブレークイーブン・レートは先週は2.57%に上昇し、5月に付けた8年ぶり高水準の2.59%に近づいた。インフレが利息の価値を目減りさせると同時に、中銀は債券購入を減らしつつある。米連邦準備制度は11月か12月にテーパリングを開始する見込み。
オーストラリアの10年物国債利回りは18日に9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して1.74%に達した。英10年債利回りは一時7bp上昇し1.17%。
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世界的に債券に厳しい環境は、運用者がベンチマーク以外のリスクを取ったり流動性低めの市場へのエクスポージャーを増やしたりしない限り、プラスのリターン確保が難しいことを意味すると、BIのサソワー氏は指摘。「選択的で機敏、柔軟」にならなければならないとして、グローバル総合指数に投資するだけでは「もはや無理だ」と述べた。
原題:
Bond Investors Face Year of Peril as Inflation Meets Unwinding(抜粋)