甘利幹事長の去就に注目、日銀正副総裁人事への影響も-エコノミスト
氏兼敬子、伊藤純夫、黄恂恂衆院選では、自民党が議席を減らしたものの単独で安定的に国会を運営できる絶対安定多数を維持した。小選挙区で落選し、辞任の意向が報じられている自民党の甘利明幹事長の後任人事次第では、2023年春に任期を迎える日本銀行の正副総裁人事にも影響が出る可能性があるとの見方がエコノミストから出ている。
自民単独261議席で絶対安定多数、立憲が減少・維新躍進-衆院選
エコノミストの見方
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミスト
- 岸田首相が目標に掲げた与党過半数を大きく上回り、危ういとみられていた自民党の単独過半数も確保し、政権基盤を固めることができた結果
- 首相は自民党総裁選の時から2%の物価安定目標には触らないことと、アベノミクスの3本の矢を継続すると発言しており、日銀との共同声明を見直すなどの可能性は低い-金融政策への影響
- 辞任の意向が報じられている甘利幹事長の後任人事が注目される。甘利氏はアベノミクス継続のイメージが強い
- 幹事長に安倍氏から距離を置くような人が就けば、金融緩和で株価を上げて景気を良くする道筋よりも分配政策に力点を置くことになり、日銀正副総裁人事に岸田カラーが出てくる可能性がある
UBS証券の足立正道アナリスト
- 選挙結果は現状維持であり、マーケットにインパクトほぼない。ただ野党が勝つというテールリスクがなくなった
- 今回の選挙で改革がないのはコップの水が半分の状態でどっちに見るかだ
- マーケットは政治に変わってほしいが、変わる方向に問題がある
- 今回の総選挙で少し議員の年齢は若返ると思う。40代の人がもっと声高になると良い
- 世の中は自民党の改革よりも日本の改革を望んでいる
住友生命保険運用企画部の武藤弘明上席部長代理
- 自民単独で絶対安定多数を確保したことで法案が通りやすくなり、経済対策を出しやすくなる
- 第6波に備えて医療体制の整備などコロナ対策がやりやすくなるし、経済に対する備えもできる
- 日本経済にとってはプラス。株式市場にとってもプラスだろう
- 経済対策は真水で最大30兆円ぐらいとみている。ただ新規国債の発行を伴うようなものにはしないだろう
- コロナの対策としては出すが、その後はプライマリーバランスの目標は堅持するというような形にどこかの時点でなるだろう
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