ソフトバンクG、7-9月期はビジョンFで損失も-中国出資先の株安
日向貴彦、Pavel Alpeyev-
今回の四半期決算「厳しいものになる」とレッドエックス・リサーチ
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アリババや滴滴グローバルの株価が下落、韓国クーパンも上場後下げ
ソフトバンクグループは8日、7-9月期(第2四半期)決算を発表する。これまで好調だったビジョン・ファンド事業が損失になった可能性があるとアナリストはみている。政府が規制色を強めた中国を中心に、出資先企業の株価が軒並み大きく下げた。
投資調査会社レッドエックス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリー氏はリポートで、同ファンドが出資する上場企業ポートフォリオ全体の7-9月期の損失を183億ドル(約2兆円)と予想した。ソフトバンクG本体の損失については、14億ドルとの見方を示した。
ブードリー氏は、今回のソフトバンクGの四半期決算は「厳しいものになるだろう」と分析。「中国のエクスポージャーが主なドライバーだが、クーパンも3月の高値から下降スパイラルに入っている」とも指摘した。
中国企業では、ソフトバンクGが筆頭株主のアリババ・グループ・ホールディングの株価が同四半期に35%下落。配車サービスの滴滴グローバルは45%、オンライン不動産取引プラットフォーム運営の貝殻找房(KEホールディングス)は62%それぞれ下げた。中国では7月以降、インターネット業界に対する半年間の集中取り締まりなど規制強化の動きが鮮明化している。
その他の出資先企業の値動きは、韓国電子商取引のクーパンが33%、米保険レモネードが39%、米学資ローンのソーファイ・テクノロジーズは17%下落した。
ビジョン・ファンド事業は2020年1-3月期に1兆円を超す赤字を計上したのを最後に、5四半期にわたり黒字基調を継続してきた。今年1-3月期の黒字額は、投資先の評価損益の増加などで3兆円以上に膨らんだ。
ソフトバンクGは午後3時に四半期決算を発表し、4時半から孫正義社長が記者会見する。孫社長は3日夜、「勝ちと負けはどちらもやって来る。肝心な事は、致命傷を避ける事。生きてれば次の勝利で飛躍出来る」とツイッターに投稿した。