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ソフトバンクG孫社長、SBノーススターでの個人損失は1500億円

更新日時
  • ソフトバンクG出資分は「プラマイゼロ」、出資時期の違いで差
  • 中国投資先の株安で「真冬のど真ん中、また嵐の中に突入」と孫氏
Masayoshi Son, chairman and chief executive officer of SoftBank Group Corp.

Masayoshi Son, chairman and chief executive officer of SoftBank Group Corp.

Photographer: Bloomberg/Bloomberg

ソフトバンクグループの孫正義社長は8日の決算発表会見で、同社の上場株投資運用子会社のSBノーススターへの孫氏自身の出資分の損失が1500億円になっていることを明らかにした。

  SBノーススターは米国の現物株への投資を中心に行っており、孫氏自身が3分の1を、残りをソフトバンクGが出資している。孫社長は、SBノーススターによる投資は「ほぼ手じまいに近い」と述べた。ソフトバンクGの出資分については「プラマイゼロ」だとし、双方の差は出資時期の違いによるものだという。

  同日開示された決算短信では、SBノーススターの米国株投資の公正価値は、9月末時点で49億8700万ドルと6月末の136億ドルから減少。デリバティブの公正価値も11億3700万ドルと22億ドルから減少していることが明らかになった。6月末時点で記載のあった米アマゾン・ドット・コムや台湾積体電路製造(TSMC)などが現物株の投資先リストから消えていた。

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ソフトバンクGの孫社長
Source: Bloomberg

  ソフトバンクGが8日に発表した7-9月期(第2四半期)の純損益は3979億円の赤字となった。ビジョン・ファンド事業の不振などが響き、6四半期ぶりの純損失となった。韓国のクーパンや中国の滴滴グローバルなど上場投資先で評価損を計上したことなどから、ビジョン・ファンド事業は1兆円を超す赤字となった。

ソフトバンクG、ファンド不振で6四半期ぶり赤字-クーパン下落 (2)

  孫社長は「真冬のど真ん中。また嵐の中に突入した」と発言。中国電子商取引のアリババ・グループ・ホールディングなど中国投資先企業の株価下落が保有株式から純負債を引いた時価純資産(NAV)の低下につながったと説明し、「中国は今まで稼いだ利益をこの3カ月で全て吐き出した」との認識を示した。

  同社長によると、ビジョン・ファンド投資先の時価は現在、米国株が35%と最も多く、中国は20%になっているという。ただし、「中国は心配しているが、投資は継続していく」との考えを表明した。

  また、孫社長は会見で、ビジョン・ファンド2の平均投資額が215億円と、1号ファンドの1055億円と比べ小規模になっていることを明らかにした。投資先については「3000社のパイプラインから厳格に選定している」と強調した。

  このほか、同社が5割を出資する電子決済サービスのペイペイに関しては、「必ず上場できる」と話したが、具体的な時期や規模は時期尚早とし、言及しなかった。

自社株買いは「うれしくて仕方ない」

  同社は決算説明会の開催中、発行済み株式総数の14.6%、1兆円を上限に自己株を取得すると発表した。孫社長は、株価のディスカウントを逆手に取り、自社株買いの実施を決めたと説明。自身も株主であり、「うれしくて仕方ない」と述べた。

  保有資産に対する純負債の割合であるLTVや時価純資産(NAV)ディスカウントの水準などを考慮しながら実施するため、発表資料では1兆円の上限に達しない可能性もあると記述したが、「ぜひ1年以内に実行したい」とし、「期間を過ぎても必ずやる」と上限達成に意欲を見せた。

ソフトバンクG、1兆円上限に自社株買いへ-期間は来年11月まで (1)

(会見内容や業績、自社株買いに関する情報を追記します)
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