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中国経済の回復失速、一段と示唆か-エコノミストは15日の指標に注目

  • 10月の工業生産と小売売上高、投資はいずれも伸び鈍化の見込み
  • 政府の行動促すほど深刻な水準に至らず、最悪期はこれからと専門家

中国経済は10月も全般に減速を続け、底打ちの兆候はほとんど見られない公算が大きい。

  15日に発表される一連の主要経済指標は、景気減速が当局の支援強化を促すほど深刻なものかを探る上で注目されそうだ。2020年に新型コロナウイルス禍に初めて見舞われたときと同様に、経済の弱さは需給両面から生じている。

  ただ、内需は「ゼロコロナ」政策による打撃をなお受けているものの、供給ショックの原因は電力不足と中国当局の環境規制、金融リスク抑制策に変わった。

  10月の中国経済動向を見極めるため、指標のどういった点に注目すべきかを以下に挙げる。

工業生産

  コスト圧力上昇で企業利益が圧縮される一方、9月に始まった計画停電は10月になっても続いたもようで、いずれも工業生産を抑制。比較対象となる前年同月の水準の高さから、低めの伸びとなる可能性もある。

  ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値では、10月の工業生産は前年同月比3%増と、20年初めに減少を記録して以来の低い伸びが見込まれている。中国製造業購買担当者指数(PMI)のサブ指数である生産指数は10月も拡大・縮小の節目となる50を下回り、さらなる鈍化を示唆した。

Slowing Recovery

China's economic activity continues losing speed

Source: National Bureau of Statistics, Oct. 2021 data is the median estimate of economists surveyed by Bloomberg.

  今のところ電力危機は和らぎつつあり、中国最大の送電会社である中国国家電網は今週、国土の約88%で電力需給状況が正常に戻ったと明らかにした。しかし、依然として一部産業で供給が制限されている地域もあり、厳冬の予報や限られた石炭供給を考えれば、さらなる電力不足もあり得る。

投資

  調査によると、1-10月の固定資産投資は前年同期比6.2%増と、1-9月の7.3%増から伸びが鈍化すると予想されている。中国恒大集団に端を発する不動産市場の混乱が続く中、開発業者の資金調達難で不動産投資が引き続き打撃を受ける公算が大きいことが主な原因。

  当局が一部の不動産政策の微調整を開始したほか、国営メディアの報道で締め付けが緩みつつあるとの観測が高まっているものの、不動産とその関連業界が中国国内総生産(GDP)の最大25%を占めることを踏まえれば、同セクターの低迷が引き続き成長への最大の重しとなり得るとエコノミストはみている。

Weak Investment Growth

SourceL National Bureau of Statistics, Oct. 2021 data is the median estimate of economists surveyed by Bloomberg.

消費

  消費は新型コロナ感染再拡大と中国のゼロコロナ政策で新たな打撃を受ける公算が大きい。外食店やケータリング、実店舗での小売売上高が特に痛手を被っている。大型連休期間の支出データからも読み取れるように、消費者信頼感はコロナ禍以前の水準をまだ回復していない。

  エコノミストは10月の小売売上高について、前年同月比3.8%増に伸びが鈍化すると予想している。

成長率見通し

  下向き圧力の高まりを踏まえ、野村ホールディングスの陸挺氏らエコノミストは、今後数四半期の成長予測を引き下げた。同氏は10日のリポートで、「最悪期はこれからだ」と指摘。「エネルギー不足の緩和や不動産規制の微調整はあるものの、中国政府が実際の行動を起こすほどの深刻な水準にはまだ至っていないと思われることから、経済状況はさらに悪化する可能性が高いと考えている」と説明した。

Growth Slowdown

China's GDP expansion seen at slowest this quarter before slight recovery

Source: National Bureau of Statistics, Bloomberg surveys

原題:China’s Economic Data Expected to Show Further Signs of Weakness(抜粋)

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