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Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
Cojp

中国経済、10月は安定推移-消費や電力供給が持ち直し

更新日時
  • 小売売上高と工業生産が予想を上回る-固定資産投資は伸び鈍る
  • 不動産減速、今後数四半期のマクロ見通しにリスク-ピンポイント

中国の経済活動は10月に予想を上回って推移した。小売売上高の伸びが加速したほか、エネルギー不足も和らぎ、不動産の低迷を一部相殺した。

  10月の小売売上高は前年同月比4.9%増と、市場予想中央値(3.7%増)に比べて高い伸び。9月は4.4%増えていた。工業生産は前年同月比3.5%増。予想は3%増、9月は3.1%増加だった。調査ベースの失業率は4.9%と、9月と同水準だった。

   1-10月の固定資産投資は前年同期比6.1%増。市場では6.2%増加と見込まれていた。

Better Than Expected

China's economic activity slowdown less severe than estimates

Source: National Bureau of Statistics

  中国経済の勢いが今年後半に鈍り、需給両面で圧力を受ける中で、10月の指標はひとまず安心材料となりそうだ。当局による不動産市場の締め付けで国内総生産(GDP)の最大25%を占める同セクターへの貸し出しが減速する一方、エネルギー不足で工場が生産の抑制を余儀なくされていた。

  国家統計局は発表文で、「全般的に経済は安定推移し、回復トレンドを維持した」と説明しながらも、「国際環境は多くの不安定かつ不確実な要因を抱え、なお複雑で深刻だとわれわれは認識する必要がある」と分析した。

中国の新築住宅価格、2カ月連続で下落-不動産低迷鮮明に

  9月に工業生産の主な足かせとなっていた電力不足が10月には和らぎ、電力供給は前年同月比11.1%増加した。だが、不動産の不振は引き続き生産の重しとなっており、鉄鋼など建設関連商品の生産は縮小した。

  野村ホールディングスの中国担当チーフエコノミスト、陸挺氏は「鉱業や公益を中心に、全般的に幾分の改善が示された」と指摘しながらも、「投資など他の分野は大きく改善しておらず、低水準にとどまっている」とコメント。価格上昇や10月初めの消費者によるパニック買いが支出の押し上げに寄与した可能性があると分析した。

  中国経済の減速を受け、これまで刺激策に対して抑制的な姿勢を保ち、経済支援をあふれさせるのではなく政策の「微調整」を選好してきた中国当局の動向が再び焦点となっている。

  大半のエコノミストは当局が不動産抑制策を堅持すると見込んでいる。その結果、ブルームバーグのエコノミスト調査では、今年10-12月(第4四半期)のGDP成長率は3.5%に鈍化し、通年では8%となる見通し。来年は5.4%への減速が予想されている。

  ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは「成長率は年内に弱まるだろう」と分析。「不動産セクターの減速が続いており、向こう数四半期のマクロ見通しにとって主要なリスクだ」と述べた。

原題:China Economy Stabilizes as Spending, Power Supply Picks Up (2)(抜粋)

(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)
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