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GDP5.6%程度の押し上げ効果、財政支出55.7兆円-岸田首相

更新日時
  • 21年度補正予算案は26日に閣議決定へ、年内の早期成立目指す
  • 赤字国債はじめ、あらゆるものを動員-経済対策の財源

過去最大規模となった経済対策について、岸田文雄首相は19日の経済財政諮問会議で、実質国内総生産(GDP)換算で5.6%程度の押し上げ効果を見込んでいると語った。

経済押し上げ効果は5.6%

実質GDP換算

出所:内閣府

備考:経済対策発表時の試算を基に作成

  2020年4月の経済対策では、内閣府は4.4%程度の押し上げ効果を見込んでいた。同年12月の対策では3.6%程度と試算した。

  大和証券の末広徹シニアエコノミストは19日付リポートで、財政支出が大きくなったわりに事業規模は小さいと指摘し、理由として成長戦略の少なさとコロナ拡大防止策の多さに言及。成長戦略では「具体的な呼び水効果が想定しにくい支出が多いのだろう」とし、当面の経済押し上げ効果は大きくないと評価した。

  日本のコロナ禍からの回復は道半ばで、7-9月期のGDP速報値は前期比年率で3.0%減と、2四半期ぶりにマイナスに転じた。米国(前期比年率2.0%増)や中国(前年同期比4.9%増)に比べて遅れが際立つ。

 財政支出事業規模
新型コロナの拡大防止22.1兆円35.1兆円
社会経済活動の再開と次なる危機への備え9.2兆円10.7兆円
「新しい資本主義」の起動19.8兆円28.2兆円
防災・減災など安全・安心の確保4.6兆円5.0兆円
合計55.7兆円78.9兆円

  岸田首相は事前に行われた内閣記者会のインタビューでは、財源は「赤字国債をはじめ、あらゆるものを動員する」と説明。「今は緊急時であり必要なものをしっかり用意しないといけない」とし、経済を再生した上で「財政について考えるのが順番だ」と話した。

  政府は26日に補正予算案を閣議決定する予定で、年内のできるだけ早い時期の国会成立を目指す。

  経済対策は財政支出ベースで55.7兆円程度となった。うち、国費は43.7兆円で2021年度補正予算案に31.9兆円(一般会計31.6兆円、特別会計0.4兆円)を計上する。22年度予算案に新型コロナ対策の予備費として5兆円を盛り込む。民間資金を加えた事業規模は78.9兆円。

  財政支出は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2020年4月に決定した緊急経済対策の48.4兆円を上回り、過去最大規模となる。18歳以下への10万円相当の支給や中小事業者への給付金、原油高に苦しむ関係業界への支援策を盛り込む。

会議やインタビューでの首相発言

  • 赤字国債をはじめ、あらゆるものを動員-財源
  • 基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標、必要な検証を行っていく
  • 消費税、触ることは考えていない
  • 金融所得課税、新資本主義会議の議論に基づいて税制を議論
  • 日銀の取り組みと政府の賃上げの取り組みで経済の発展期待
  • TSMCだけでなく米半導体メーカー誘致など可能性広げる
(経済対策の閣議決定を受け、更新しました)
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