中国経済への不動産リスク封じ込め可能、財政支援は強化を-IMF
Tom Hancock-
成長率見通しに対する下振れリスク、「蓄積されている」
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金融政策は緩和的であるべきで、それが財政の取り組みも支える
中国は不動産開発会社が抱えている金融ストレスの経済的影響を抑えることができるはずだが、景気減速に対する財政支援を強化する必要があると国際通貨基金(IMF)は指摘した。
IMFは中国経済の年次調査に伴う報道資料で、IMFが今年8%、来年は5.6%としている成長率見通しに対する下振れリスクが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を取り巻く「不確実性」や弱い消費などの要因で「蓄積されている」との認識を示した。
不動産開発会社向けファイナンス抑制などの影響もあり、ここ数カ月の中国経済は1990年以来の低成長に落ち込んでいる。だが中国恒大集団など各社を危機に陥らせている不動産規制の経済的インパクトは限定されるとIMFはみている。
IMFの中国責任者ヘルゲ・バーガー氏はブルームバーグ・ニュースに対し、「政策当局には封じ込め手段があることから、こうしたリスクが拡大したり、住宅需要・投資にマクロレベルで影響が及んだりする理由はない」と語った。
地方政府の債務抑制を重視する中国の財政支出は今年、2020年に比べ引き締められ、これも経済成長の重しになっている。政策金利は昨年以降、据え置きが続く。
IMFのジェフリー・オカモト筆頭副専務理事は「今年大幅に縮小した財政政策を一時的に中立スタンスに変更し、社会的保護の強化とグリーン投資の促進に焦点を絞るべきだ」としており、消費者物価上昇率は低水準で、経済には「大きなたるみ」が残っているため、「金融政策は緩和的であるべきで、それが財政の取り組みも支える」との見方を示した。
IMFによる中国調査の詳細は今後、公表される。
原題:China Property Risks to Economy Can Be Contained, IMF Says(抜粋)