人民銀に落ち着きと自制、元高再燃でも-実質切り下げ時と状況異なる
Tania Chen-
15年には元高を受け実質的な切り下げを実施し市場に衝撃を与えた
-
元は今年に入り対ドルで2%余り上昇しており人民銀は元高を容認か
中国人民元の上昇が止まらないが、当局が厳しい管理下に置いてきた取引の段階的自由化で締め付けを緩める兆しと受け取れる。
人民元が17日に貿易加重ベースで6年ぶりの高値を付けて以降、中国人民銀行(中央銀行)は元の中心レートを予想よりやや元安水準に設定してきた。元が値上がりする中で、人民銀は投機的な外国為替取引の制限を指示する一方、投資家へのより強い警告は控えた。
人民元の主要なボラティリティー指標は2年ぶりの低水準近くにあり、トレーダーが急激な価格変動に備えていない様子が見て取れる。
元高の再燃で中国当局が示した落ち着きと自制を見る限り、少なくとも当面は元安に頼らずに減速しつつある経済を下支えできるという政策担当者の自信がうかがえる。元高を受け人民銀が実質的な切り下げを実施し、市場に衝撃を与えた2015年当時の状況とは対照的だ。
クレディ・アグリコルCIBのシニア新興国市場ストラテジスト、エディ・チョン氏(香港在勤)は「為替制度の柔軟性が増した今は状況が異なる。人民元の通貨バスケットに透明性が存在し、人民銀の意図を市場が判断できるようになり、元相場はより市場主導型になった」と指摘した。
元は堅調な輸出と資本流入を背景に今年に入り対ドルで2%余り上昇し、パフォーマンスは他の全てのアジア通貨をしのぐ。昨年7-9月(第3四半期)以降の銀行為替決済残高(顧客からの委託)も元への需要の高まりを示唆している。
チョン氏は2022年末時点の元相場を1ドル=6.30元前後と予想した。
原題:Yuan Surge Shows Traders’ Faith in Hands-Off Central Bank(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
LEARN MORE