米国債トレーダー、オミクロンがインフレ圧力高めると予想
Masaki Kondo-
10年物米ブレークイーブンレートは昨年11月以来の水準
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インフレが引き続き市場の主要テーマ-SMBC日興証券
米国債トレーダーらは新型コロナウイルスのオミクロン変異株の急速な広がりが米経済のインフレ圧力を高めると予想している。
10年物米ブレークイーブンレートは4日に2.66%と昨年11月以来の水準に達した。直近の下値を付けた12月14日は2.36%だった。2年物と10年物米国債の利回り格差も急拡大し、イールドカーブのスティープ化見通しを示している。
米国では1日当たりの新規感染者が3日に100万人を超え、記録を更新。サプライチェーンが近く正常化するという期待に水を差した。米国のインフレ率は昨年11月に40年ぶり高水準の6.8%に上った。
SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは、「コロナとの共存が続きそうな2022年、引き続き市場のテーマはインフレ」と分析した上で、「感染拡大が労働参加率低迷と供給制約につながるとの思惑」があると、リポートで指摘している。
オーバーナイト・インデックス・スワップは米連邦準備制度が5月にも利上げを開始するとの見通しを織り込んでいる。1カ月前には7月が想定されていた。
4日には英国債も下落し、10年物利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.07%となった。ブレークイーブン・レートも4bp上昇し3.98%。
短期金融市場はイングランド銀行(英中央銀行)が3月に追加利上げを実施し、来年2月には政策金利が1.25%に上昇するとの見通しを示唆している。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、マイケル・ベル氏は米英のインフレ期待がさらに高まると予想。「もしオミクロンがそれほど大きな問題でないならば、英国および米国の労働市場は非常に逼迫(ひっぱく)する。その場合、一部で想定されている以上の持続的な賃金上昇圧力に至る可能性がある」と指摘した。
原題:Treasury Traders Are Betting Omicron Will Add to Inflation Spike(抜粋)