【米国市況】株続落、一時上昇も終盤に再び失速-ドルは127円台後半
Stephen Kirkland、Vildana Hajric19日の米株式相場は続落。物価上昇や金融政策引き締めを受けた成長見通しが警戒され、日中は荒い値動きとなった。
|
S&P500種株価指数は前日比0.6%安の3900.79で終了。一時は上昇する場面もあったが、引け際1時間に再びマイナス圏に沈んだ。前日は2020年6月以来の大幅な下げとなり、同指数の時価総額1兆5000億ドル(約190兆円)が消失していた。ダウ工業株30種平均は236.94ドル(0.8%)安の31253.13ドル。ナスダック総合指数は0.3%下落。
ナスダック100指数は0.4%安。中国のロックダウン(都市封鎖)などに伴う供給混乱を理由に5-7月(第4四半期)の減収見通しを示したシスコシステムズは13%超の急落。
ブリークリー・アドバイザリー・グループのピーター・ブックバー最高投資責任者(CIO)は「こうした弱気な市場では、不穏なムードが根強く、相場反発のタイミングを探ろうとしても全く無理な状況だ」と指摘。「しかし、これが弱気な市場では起こることであり、売りが売りを呼んでいる。とはいえ、これほどの弱気な地合いは、常にそれなりの上げ相場につながり得る」と述べた。
米国債市場では利回りが低下。株安に加え、世界経済の健全性を巡る不安が強まっていることが背景。先週の米新規失業保険申請件数が予想に反して前週から増加したことや、フィラデルフィア連銀製造業指数が大幅低下したことも米国債の買いにつながった。ニューヨーク時間午後4時18分現在、10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.85%。
米新規失業保険申請件数、予想外の増加で1月以来の高水準 (2)
フィラデルフィア連銀製造業指数、5月は2.6-予想以上の低下
外国為替市場ではドルが下落。ドル指数は2020年11月以来の大幅安となった。景気減速観測が高まっていることが背景。一方、スイス・フランは堅調。前日にジョルダン・スイス中銀総裁のタカ派的発言を受けて買われた流れが続き、対ユーロでは続伸した。
スタンダード銀行の為替ストラテジスト、スティーブン・バロー氏は「環境はおおむねリスクオフで、それはドルにプラスだが、円やスイス・フランといった他のもっと安全な通貨に対してだけだとしても、ドルにはある程度の弱さがまだあるのかもしれない」と指摘。「株式相場に関して弱気な見方をするなら、米国市場は恐らく最も影響を受けやすいとみられる」と述べた。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.9低下。一時は1.1%下げる場面もあった。ニューヨーク時間午後4時15分現在、ドルは対円では0.4%安の1ドル=127円76銭。ユーロは対ドルで1.2%高の1ユーロ=1.0586ドル。
ニューヨーク原油先物相場は反発。この日は上下に合わせて7ドルと荒い値動きとなる中、米株市場が一時下げを埋めるのに連れる形で急速に持ち直した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比2.62ドル(2.4%)高の1バレル=112.21ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント7月限は2.93ドル高の112.04ドル。
オアンダのシニア市場アナリスト、エド・モヤ氏は「原油市場は需要破壊懸念の強まりを受け、不安定な取引が続いている」と指摘。その上で、景気後退(リセッション)への警戒はあるものの、原油市場は引き続きタイトであり、短期的な需要見通しが大きく崩れるとの見方は「行き過ぎだ」と述べた。
ニューヨーク金相場は上昇。この日発表された米新規失業保険申請件数が予想外の増加となり、景気減速への懸念が強まったことが背景。外国為替市場でドルが下げ足を強めたことも材料となり、金スポット価格は一時1.8%高となった。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は前日比1.4%高の1オンス=1847.80ドルで終了。
原題:Stocks End Lower in Late-Day Slide as Havens Bid: Markets Wrap(抜粋)
Dollar Extends Drop, Franc Rises on Hawkish SNB: Inside G-10(抜粋)
Dollar Tumbles Most Since November 2020 Amid Slowdown Signs (1)(抜粋)
Oil Rises Alongside Equities, Shrugging Off Recession Fears(抜粋)
Gold Gains as Rising US Jobless Claims Spurs Growth Concerns(抜粋)