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ECB0.5ポイントあるか、利上げペース判断へ-物価は記録更新見込み

  • オランダやオーストリア中銀総裁ら、大幅利上げの検討求める
  • 0.5ポイント利上げは現時点でコンセンサスに即さないと仏中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)は6月2日、同月9日の金融政策決定を前に当局者が対外的発言を行わないブラックアウト期間に入る。今週はそれを控えて、金融政策の引き締めをどこまで積極的に行うか公の議論が活発化しそうだ。

  5月31日には同月のユーロ圏の消費者物価指数が発表される。4月の前年同月比上昇率は7.5%と過去最高だったが、5月はこれを上回る伸びになる見込み。ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値によれば7.8%に達し、スペインを除く各国でインフレの加速が示される見通しだ。

Euro-area inflation probably accelerated to 7.8% in May
 
 

  ラガルド総裁は来週の政策委員会終了後、9月までの金融引き締めで想定する段取りと最新経済予測を公表する。それが最終的に集約される過程で、フランクフルトのECB本部と各国中銀のスタッフとの間のやりとりも水面下で加速すると予想される。

  その全てが利上げのペースと大きさを議論する政策担当者にとって大きな意味を持つ。ECBの政策委メンバー、オランダ中央銀行のクノット総裁は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の今月の決定と同じ0.5ポイントの積極的利上げを排除しない考えだが、インフレ率と関連する基調的指標を注目すべき重要データとして挙げる。

  ローマのルイス大学のジョルジョ・ディ・ジョルジョ教授は「これらの新たな数字は、利上げ実施で必要なスピードを判断する上で極めて重要だ。(新型コロナウイルスの)パンデミック(世界的大流行)や供給の障害、ウクライナでの戦争、中国のゼロコロナ政策とその影響など、同時に発生し状況を複雑にしている諸要因の現実の絡み合いが存在する」とインタビューで指摘した。

  ECBの政策委メンバーのうち、クノット氏のほか、オーストリア中銀のホルツマン総裁とラトビア銀行(中銀)のカザークス総裁を含む一部の政策担当者らは、より大幅な利上げを少なくとも選択肢として検討するよう強く求めている。ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁も同意見と考えられる。

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Source: Bloomberg Economics

 

  これに対し、フランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁は先週ブルームバーグテレビジョンに対し、0.5ポイントの利上げは「現時点でコンセンサスに即していない」との認識を示した。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストらは、ECBが7月と9月、12月に0.25ポイントずつの利上げを決定すると予測している。

 

原題:

Lagarde Prepares for ECB Liftoff With Yet More Record Inflation(抜粋)

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