東芝島田社長、株主価値が最大化されれば上場維持も選択肢に
古川有希、Min Jeong Lee-
非公開化か上場維持かではない、変革も重要ーブラック氏
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データを使って新しいビジネス創造していくー島田社長
東芝の島田太郎社長は投資家やスポンサーから募集していた株式の非公開化を含む戦略的選択肢について、今後の検討次第では上場維持を選択する可能性もあることを示唆した。
島田氏はブルームバーグのインタビューで、「株主の価値が上場していた方が最大化されること」になるなら、非公開化ではなく上場維持を選ぶこともあると述べた。ただ、デュ―デリジェンス(資産査定)などはこれからで、「やってみないと分からないというのが正直なところ」とも述べた。
特別委員会委員長を務めるジェリー・ブラック取締役も、競争力を高めると同時に変革も必要で、重要なのは非公開化か上場維持かではなく、東芝の変革を支援する方法が何かという基準だと述べた。
東芝は4月、戦略的選択肢の検討を行うため特別委員会を設置。5月30日の締め切り時点の提案は10件で、そのうち非公開化に関するものが8件、上場維持を前提とした資本業務提携に関するものが2件だった。
ブルームバーグはCVCキャピタル・パートナーズやベイン・キャピタル、KKRとブラックストーンなど海外投資会社のほか、日本勢からは産業革新投資機構(JIC)が東芝の買収を検討していると報じている。
一方、3月の臨時株主総会では、2社分割案と非公開化も含めた戦略の再検討案がいずれも否決された。6月28日の定時株主総会後に退任予定の綱川智取締役会議長は、非公開化は現時点ではデメリットが多く、社員をいばらの道に進ませる可能性があると2月のインタビューで言及していた。
13人の取締役選任案
定時総会では、アクティビストのファラロン・キャピタル・マネジメントのマネージングディレクター、今井英次郎氏とエリオット・インベストメント・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ナビール・バンジー氏を含む計13人の取締役選任案を諮る。
ブラック氏は「当然ながら全員承認されることを期待している」と述べ、綿引万里子氏が今井氏とバンジー氏の選任に反対しているのは「個人の意見であり、取締役会として承認しているので株主が混乱することはない」とした。
また、島田社長は株主還元策について「自分たちの資本に必要のないものに関しては還元していくという方針は変えていない」と述べた。同社は6月30日を基準日として1株当たり160円の特別配当を行うと決めている。
2日に公表した経営方針では、データビジネスを収益の柱に掲げ、2031年3月期の売上高を今期(23年3月期)計画比52%増の5兆円、営業利益を3.5倍の6000億円に引き上げるとした。島田氏は「私たちが本当にやりたいことは、データを使って新しい組み合わせやソリューションを作り出し、異なるタイプのビジネスを一緒にすること」だと述べた。
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