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【米国市況】株が急反落、リセッション懸念が再燃-ドルは132円前半

Traders work on the floor of the New York Stock Exchange.
Traders work on the floor of the New York Stock Exchange. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

16日の米株式相場は急反落。リセッション(景気後退)懸念が再燃し、売りが膨らんだ。米金融当局は以前の想定よりも根強く広範に及ぶインフレの抑制で苦戦を強いられている。日本銀行の金融政策発表を控え、円は1ドル=132円前半に上昇。大方は金融緩和の継続を予想しているが、このところの国債利回りや円への圧力に対処するため、日銀が何らかの政策調整や予想外の動きに出る可能性に注目が集まっている。

  • 米国株は急反落、ダウ平均は3万ドル割れ-ナスダック100が4%安
  • 米国債は続伸、乱高下の末-10年債利回り3.24%に低下
  • ドル下落、対円で132円前半-欧州の中銀が利上げ
  • NY原油は反発、供給懸念が強く-利上げ見通しが上値抑制
  • NY金は続伸、株安などで逃避需要強まる

  S&P500種株価指数は2020年12月以来の安値で終了。大型ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は4%安となった。イーロン・マスク氏がこの日のツイッター全社会合で同社買収の完了にコミットしているかとの直接の質問を受けず、本人も言及しなかったことから、同買収の実現可能性に懐疑的な見方が強まった。米住宅ローン金利が1987年以来の大幅上昇を記録したことを受け、住宅建設業者の株価も下げた。

  S&P500種は前日比3.3%安の3666.77。ダウ工業株30種平均は741.46ドル(2.4%)安の29927.07ドルと、節目の3万ドルを割り込んだ。ナスダック総合指数は4.1%低下。米国債市場ではニューヨーク時間午後4時7分現在、10年債利回りが4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.24%。

  TIAAバンクの世界市場担当プレジデント、クリス・ギャフニー氏は「昨日は『金融当局は積極的な措置を講じており、さらに積極的になっていく。インフレとの闘いで遅れを挽回しようとする』と誰もが安心した。だが今では、『到底追い付けないものを追いかけているのではないだろうか』と不安になっている」と語った。

  S&P500種が示唆する米国のリセッション確率は85%だと、JPモルガン・チェースのストラテジストが指摘した。

米国株が示すリセッション確率は85%、政策ミスが背景-JPモルガン

S&P 500's market breadth falls to level that has preceded prior market rebounds
 
出所:ブルームバーグ

  外国為替市場ではスイス・フランが急伸。スイス国立銀行(中央銀行)の予想外の利上げ発表を受け、対ドルで2015年以来の大幅上昇を記録した。イングランド銀行(英中銀)による利上げを背景に、ポンドも値上がりした。円は一時、131円50銭まで上昇した。

  ユーロも高い。関係者によると、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁はユーロ圏の各国財務相に対し、域内の比較的財政の弱い国の借り入れコストが過度に上昇したり、上昇が急だったりする場合には新たな危機対策ツールが稼働すると説明した。

  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.8%低下。ニューヨーク時間午後4時7分現在、ドルは対円で1.3%安の1ドル=132円09銭。ユーロは対ドルで1.1%高の1ユーロ=1.0555ドル。

  ニューヨーク原油先物相場は反発。約1週間ぶりの大幅高となった。供給がタイトな状況が続いている反面、追加利上げの見通しも意識され、値動きは荒かった。

  米ヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「供給懸念の継続は引き続き支えになっているが、米国などの中央銀行による行動で上昇が抑えられている」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物7月限は、前日比2.27ドル(2%)高の1バレル=117.58ドルで終了。一時は112.31ドルまで下げる場面もあったが、持ち直した。ロンドンICEの北海ブレント8月限は1.30ドル高の119.81ドル。

  ニューヨーク金相場は続伸。スポット相場は約3カ月ぶりの大幅高となった。米金融当局による1994年以来の大幅利上げで米リセッション入りの見通しが強まったことに加え、ロシアのウクライナ侵攻や欧州での借り入れコスト急上昇といったリスクを背景に、金が逃避先資産として見直された。

  スポット価格はニューヨーク時間午後3時8分現在、前日比0.9%高。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は1.7%高の1オンス=1849.90ドルで終えた。

原題:Stocks Get Crushed With Recession Worries Mounting: Markets Wrap(抜粋)

Dollar Slips as European Peers Ramp Up Rate Hikes: Inside G-10(抜粋)

Oil Jumps 2% as Supply Woes Offset Demand Fears After Rate Hike(抜粋)

Gold Shrugs Off Rate Rises to Resume Haven Role in Market Chaos(抜粋)

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