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米弱気相場はリセッション懸念で継続も底入れ遠くない-MLIV調査

  • S&P500種の年末予想は3700-24日終値を5%程度下回る
  • 米10年債利回りは3.5%への上昇見込む-悲観論者ほど弱気ではない
Pedestrians are reflected in a window of the Nasdaq MarketSite in New York, US, on Wednesday, June 15, 2022.

Pedestrians are reflected in a window of the Nasdaq MarketSite in New York, US, on Wednesday, June 15, 2022.

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

世界的な相場回復持続に賭ける資産運用会社は今年下期、失望して終わるかもしれない。インフレが鈍化しても弱気相場が長引きそうなためだ。ただ、株式と債券の底入れはそう遠くはないようだ。

  こうした見方が「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」の最新週間調査で示された。リセッション(景気後退)懸念に再び見舞われた先週の同調査で1700人超の回答者は、米金融当局が物価上昇圧力抑制のための利上げ継続によって景気下降を引き起こすのではないかとの多大な不安を抱いている。ただし、相場の先行きについては著名な悲観論者ほど弱気でなく、悪材料は相当部分が織り込まれたとみている。

  弱気相場入りしたS&P500種株価指数は年末を3700で終えると調査で予想された。これはウォール街のコンセンサスより低いが、24日終値からは5%程度の下げで済み、今年これまでに付けた安値は上回っている。米10年債利回りは3.5%までの上昇が見込まれている。これは11年ぶり高水準であるものの、ブリッジウォーター・アソシエーツのような4%予想をかなり下回る。

  調査によれば、上期の劇的な下落後、相場が下期も暴落して1年を締めくくる状況は起こりそうにない。しかし、成長リスクが高まる中、向こう数カ月の相場上昇は弱気相場の中の一時的な回復以上の意味合いは持たないとも回答者はみている。

Bond Selloff Nearly Over

Median projections for Treasuries by role

Source: MLIV Pulse survey running June 21-24. Respondents were asked 'Where do you see these assets trading at the end of 2022? Please provide a numeric answer.'

  JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、マイケル・ベル氏は「バリュエーションはかなり妥当にみえる」とブルームバーグテレビジョンで話した。「リセッションになれば、さらに下落する可能性はあると思う。しかし年初来でこれだけ下げると、この水準で売って安くなったら買い戻すというのは難しい」と指摘した。

  日本を除く世界的な金融引き締めを背景に、S&P500種は年初来で18%、ナスダック100指数は26%それぞれ下げている。債券売りの中で米10年債利回りは2倍に跳ね上がった。ロシアによるウクライナ侵攻で商品も値上がりし、地政学的リスクも投資家マインドに影響を与えている。

  相場の混乱は終わっていないが、底入れはそう遠くない状況も調査の回答からうかがわれた。S&P500種の年末予想は3700と、1カ月前に予想された3500から上方修正されたほか、ソシエテ・ジェネラルのクオンツストラテジストらが予測した2900をかなり上回っている。

  

Portfolio Managers Are More Bullish on US Stocks Than Traders

Median projections for S&P 500 by role

Source: MLIV Pulse survey running June 21-24. Respondents were asked 'Where do you see these assets trading at the end of 2022? Please provide a numeric answer.'

  回答者が挙げた一つの理由はインフレ率が既にピークを迎えたようにみえることで、年末時点の予想は6%。ただし、今後はインフレよりも成長が一段と差し迫った懸念になる可能性がある。調査回答によれば、米失業率は現在の3.8%から4.2%に悪化する恐れがある。スタグフレーションの確率予想は10%から90%までと幅広かった。米金融当局が引き締めに過度に積極的になる懸念を挙げた回答も複数あった。

  ただし、MLIV調査参加者はウォール街のコンセンサスよりもハト派的だ。中央値で予想された年内の米追加利上げ幅は1.25ポイントで、市場で先週予想された幅を0.5ポイント下回っている。イングランド銀行(英中銀)は今年これまでに計1ポイント利上げしたが、調査では同程度の追加行動が年内に見込まれた。欧州中央銀行(ECB)に関しては今年計1ポイントの政策金利引き上げが予想されている。

  

How Much More Fed Tightening Is Coming?

How many basis points of hikes will the FOMC raise rates between now and year-end

Source: MLIV Pulse survey running June 21-24. Respondents were asked 'In basis points, how much policy rate tightening do you expect to be delivered in total in 2022?'

Note: Chart excludes answers that didn't correspond to 25-basis-point increments

 

原題:

Wall Street Seen Trapped in a Crushing Bear Market: MLIV Pulse(抜粋)

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