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主要中銀がタカ派姿勢示す、ジャクソンホール-日銀は異なる課題

更新日時
  • ECB当局者、物価抑制のため「力強く」行動と発言
  • 黒田総裁は金融緩和策を維持する必要があるとの見解繰り返す
Haruhiko Kuroda, governor of the Bank of Japan.

Haruhiko Kuroda, governor of the Bank of Japan.

Photographer: Jun Hirata/Kyodo News

世界の主要な中央銀行当局者は米カンザスシティー連銀主催のワイオミング州ジャクソンホールでの年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)で、インフレ抑制の必要性について厳格なメッセージを送った。インフレが広範囲で持続的であり、中銀の強力な行動が必要だと宣言したのだ。

  同会合では27日に欧州中央銀行(ECB)の複数の当局者や日銀総裁、スイス国立銀行(中央銀行)総裁、韓国中銀総裁などが発言した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は26日の講演で、インフレが大幅に減速するまで利上げを継続する意向を明確にした。

  ECBのシュナーベル理事はユーロ圏で過去最高、米国で8%を超えるインフレ率を鈍化させるために決意を持って行動する必要があると強調。

  同理事は「現行の物価上昇でインフレ予想が定着する可能性とコストは不快なほど高い」とし、「こうした環境では中銀は力強く行動しなければならない。人々が法定通貨の長期的な安定性に疑問を持ち始めるリスクに対し、断固として対応する必要がある」と述べた。

  また同理事はリセッション(景気後退)のリスクがあることを認めた上で、「景気後退に突入したとしても、金融政策の正常化路線を継続する以外に基本的に選択肢はほとんどない」と発言。「インフレ減速には潜在成長率を下回る経済成長の期間が必要になる可能性が強い」とのパウエル議長発言と同様の見解を示した。 

Hawkish Stance

More than 80 central banks have hiked rates this year

Note: Mapped data show change in interest rates in basis points for distinct central banks since the start of 2022

  ECB政策委員会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁はシュナーベル理事と同じパネルで、政策当局者は後になって「不必要に厳しい」金利の動きを強いられるのを回避するため、記録的なインフレに対応する決心が必要だと主張した。

  一方、日本銀行の黒田東彦総裁は欧州各国や米国と大きく異なる日本の経済情勢について説明。賃金と物価が安定的かつ持続可能な形で上昇するまで、持続的な金融緩和を行う以外に選択肢はないと語った。

黒田総裁、日銀は金融緩和策を維持する以外ない-ジャクソンホール

  韓国中銀の李昌鏞総裁は、韓国とアジアの他の新興国が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の低インフレ・成長環境に戻る可能性がかなりあると述べた。

  ジャクソンホール会合では高インフレの継続期間に関する議論も交わされた。スイス中銀のジョーダン総裁は「パンデミックやウクライナでの戦争の影響を直接受けていないモノやサービスにもインフレが一段と拡大している兆候がある」と指摘した。

原題:

Top Central Bankers Deliver Hawkish Message at Jackson Hole(抜粋)

(ECB当局者と韓国中銀総裁の発言を追加して更新します)
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