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身構える投資家、株式厳しい下げか-パウエル氏発言でリスク心理激変

更新日時
  • 日本と豪州の株価指数先物は下げ、悪いスタートに身構えている
  • 9月FOMC前に1ドル=140円に達する可能性-ウエストパック銀
A monitor displays a S&P 500 Index  chart on the floor of the New York Stock Exchange.

A monitor displays a S&P 500 Index  chart on the floor of the New York Stock Exchange.

Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、痛みを伴うインフレとの闘いの過程で金利が今後一段と高くなり、より長く高止まりするという容赦ないメッセージをジャクソンホールのシンポジウムで発し、グローバル投資家がそれを消化しようとする中で、暑い夏は確かに終わりを迎えた。

  ロシア産天然ガスを欧州に運ぶパイプライン「ノルドストリーム」が保守点検を理由に月末から3日間停止することや、連邦準備制度バランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)の進行、9月2日発表の8月の米雇用統計に至るまで、ボラティリティーのさらなる誘因が次々に待ち受けており、FRB議長のジャクソンホール発言に伴う26日の株価急落後も警戒が高まる公算が大きい。

  パウエル議長は、金融引き締めの軌道が程なく緩やかになる可能性があるという市場の見方に対し反証を示した。成長減速に伴い連邦準備制度が来年利下げに転じるとの観測も支えとなり株価は6月の弱気相場で付けた安値から世界的に回復していたが、先週末の急降下でその戻りはさらに縮小した。

  パウエル氏が景気抑制的政策を継続する必要性を明確にしたことで、米国の2年国債利回りは年初来で最も高い水準に向け上昇し、ボラティリティーからの避難場所として投資家はドルに急ぎ資金を動かした。

  ストレーツ・インベストメント・ホールディングスのファンドマネジャー、マニシュ・バルガバ氏(シンガポール在勤)は、ジャクソンホールでのパウエル議長の発言は「明らかにタカ派的」だったとした上で、新興国市場から資金が流出し、サマーラリーが勢いを失う状況で、「29日は大きく下げるだろう」と予想した。

  26日の米株市場でS&P500種株価指数が3.4%急落して終了したことを受け、日本株の株価指数先物は約2%、オーストラリアは1.5%それぞれ下げており、アジアのトレーダーは週の悪いスタートに備え身構えている。

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  シンガポール銀行のチーフエコノミスト、マンスール・モヒウディン氏はドルについて、安全逃避先として、またユーロやポンド、円など相対的に低金利の主要10通貨とのキャリートレードの投資先として買われるとの見方を示した。

  ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、ショーン・キャロー氏は、タカ派的な米金融当局を前にドル・円が最も影響を受けやすいとし、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合前に1ドル=140円を突破する可能性があると予測した。

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  米金融政策の先行きを見通す上で、雇用や消費者物価に関する今後の指標が極めて重要になる。9月2日には8月の雇用統計が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、非農業部門雇用者数は前月比30万人増に減速すると見込まれている。

  マラヤン・バンキングの外為ストラテジスト、ヤンシー・タン氏は「米金融政策の先行きを占うゲームは、ピーク金利がどの程度高くなるかとの推測から、そこにどのくらい長くとどまるかの把握にシフトした」と分析した。

原題:

Powell Heaps Pressure on Risk Sentiment as More Catalysts Loom(抜粋)

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