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米国株、今年の最悪期はまだ先か-最近の下落で強気派に正念場

  • 何が株価上昇のけん引役となったと考えるかによるとホーガン氏
  • 下期は23年の利益予想に左右されるとモルガンSのウィルソン氏

物事が順調に進んでいるときは楽観主義者になりがちだが、本当の意味で試されるのは苦境に陥ったときだ。

  米金融当局のタカ派姿勢復活で、バリュエーションから金融状況に至る全てを基に株投資を擁護する主張が突然疑問視され、株式市場のモメンタムが逆転する中、筋金入りの強気派が正念場を迎えている。S&P500種株価指数はこの3営業日で5%下落した。

  不安を抱える投資家は皆同じことを考えている。今回の下げが本当の株価急落の始まりなのか、それとも前回の下降局面で歯止めを掛けた要因が今回もさらなる売りを食い止めるのかだ。6月半ばの水準が今年の安値となるかを巡る手掛かりを求め、チャートやバリュエーションツールが引っ張り出されている。

  Bライリーのチーフマーケットストラテジスト、アート・ホーガン氏は電話で、「何が株価上昇のけん引役となったと考えるかによる。米金融当局の方針転換見込みだけが株価上昇の前提だったと考えるなら、当然ギアを変更せざるを得ず、相場は新たな安値に向かうと予想するだろう。一方、当局の方針転換とは無関係との見方なら、2022年の安値は既に付けたと確信するだろう」と述べた。

米株式相場は難局脱したのか、S&P500種が半値戻し達成

Market Conditions Ease Back
 
 

  22年の最悪期は終わったとする強気派の議論の中心はバリュエーションだ。S&P500種の来年の利益予想に基づく株価収益率(PER)は約16.4倍と、22年の利益予想に基づくPERに対して13週間前に付けた底付近となっている。このモデルの問題はアナリスト予想に依存していることだ。23年の企業利益がどうなるか誰も定かではなく、現在の神経質な市場では収益が悪化しつつあるという証拠は歓迎されない。

  FBBキャピタル・パートナーズの調査担当ディレクター、マイク・ベイリー氏は「マクロトレンドの大半が、来年の収益は若干悪化することを示唆している」と語った。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたアナリスト予想によると、S&P500種構成企業の23年の1株利益は6.4%上昇して240.50ドルになると見込まれている。米企業の利益マージンを示す指標は1950年以来の最大に達した。企業が顧客に請求する価格が、生産や労働のコストを上回るペースで上昇していることを示唆している。

米企業利益が急増、利益マージンの指標は1950年以来の水準に上昇

  30日の米株式相場は3営業日続落。米連邦準備制度がインフレを抑制するため利上げを継続すると示唆したことを受け、トレーダーは予想を修正した。S&P500種は1%余り下げ、10年債利回りは3.10%近辺で推移した。

  マイク・ウィルソン氏率いるモルガン・スタンレーのチームは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のタカ派的コメントが株式市場にとって打撃となったと分析。下期(7-12月)については、23年の利益予想に左右されるとの見方を示し、株式投資家はこのリスクに注目する必要があると指摘した。

  モルガン・スタンレーはリポートで、「商品投資顧問業者(CTA)など物価に反応しにくい買い手によってバリュエーションが非現実的な水準に押し上げられ、ここ数カ月の株式相場は相場自体のモメンタムに振り回された。株価収益率は再び下げているが、当社の株式リスクプレミアムの枠組みに基づけば、依然として適正水準をはるかに上回っている」と説明した。

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原題:Selloff’s Sequel Is Moment of Truth for Summer Stock Enthusiasts(抜粋)

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