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映画「そして、バトンは渡された」永野芽郁さん、田中圭さんインタビュー 血のつながらない親子、未来の楽しみが2倍に

永野芽郁さん、田中圭さん

芽郁ちゃんは優子そのもの

――まずはおふたりが原作を読まれた感想と、原作から感じたインスピレーションをどのように実際の役作りにいかされたのか、お聞かせください。

永野:原作を読んだときに、思わず涙する場面もありましたし、感動もしたのですが、それがすべて温かい感情のなかで動くものだと感じて、「すごく優しい本だな」と思いました。脚本になっても、原作のその優しさを失わずに物語が描かれていたので、原作と脚本で違う部分もありますが、原作の良さを自分のなかで出しつつ、優子役に挑んでいました。優子とは、何事もポジティブにとらえているところや、いつも笑顔でいることを心がけようと思っているところが私自身と似ているなと思いました。

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田中:芽郁ちゃんが優子ちゃんそのものという感覚は僕にもありましたね。ポジティブでキラキラしていて、芽郁ちゃんからしか優子ちゃんは生まれないだろうな、と感じました。

 僕は原作を読んでいないので、脚本から役作りをしていったのですが、僕との大きな共通点として、どちらも父親であるということ。役では実年齢や、親子の血が繋がっていないという違いはありますが、大きなくくりとして父親役だから大丈夫だろうと撮影に入ったのですが、実体験は全然参考になりませんでした。そのため、自分の感覚を忘れて、現場で、いちから役を作り直していきました。森宮さんは、僕自身が愛すべきところや尊敬するところもあれば、共感できないところ、やりすぎじゃないかと思うところもあって。そういう意味では、興味深い観察対象でしたね。

――田中さんは原作のある映像作品にたくさん出演されていますが、いつも読まないようにしているのでしょうか。

田中:そんなことはないです。今回は読む時間がありませんでしたが、脚本を読んでいてイメージがわからないときは、原作を読んでヒントをもらう場合もありますね。

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――永野さんは、お母様が原作を読んで「実写化したら演じてほしい」と希望されていたそうですが、普段からお仕事についてもよくコミュニケーションをとるのですか。

永野:今回が初めてです。だからこそ、私もこの役を演じられたらいいなと思いましたし、やれてよかったなと思っています。

 実は、瀬尾さんの本、全部持っているんですよ。どの本も好きなのですが、『夜明けのすべて』(水鈴社)、『強運の持ち主』(‎文藝春秋)は印象深かったですし、どれも面白かったです。もともと本を読むことが好きなので、私にとって、本は身近な存在ですね。

――今回、原作と映画では、異なっている結末が描かれていますね。その点について永野さんは、どのように解釈されていますか。

永野:スタートから、原作と映画は違う構成で描かれていますよね。でも、人が人を思って過ごす物語には変わりがなかったので、結末が違うことに関しては、映画の面白さ、楽しさも感じてもらえると思います。

家族とは、どういう存在?

――劇中で、ふたりでキッチンに並んで料理をする、息の合った様子が微笑ましかったです。親子の絆を感じさせるシーンのひとつでしたが、ここで意識していたことはありますか。

永野:いつもは森宮さんが料理を作ってくれていましたが、あのシーンでは「一緒に私も手伝っていい?」となるのが、優子としてはちょっと成長した自分を見せるところでもありますし、それまでの感謝の気持ちをその言葉で伝えようとしていました。自分のなかでも、ここが変わるところだな、となんとなく頭で思いながら演じていたと思います。

©2021 映画「そして、バトンは渡された」製作委員会

田中:僕は基本的に料理が得意ではないので、料理シーンは手もとがとても緊張しますし、いつもどうしたものかと思っていました。でも、あのシーンはふたりで作るところだったので、これでいいのかな? と思いつつ、楽しさはありました。森宮さんとしても、へんに深い意味を持たさずに、「じゃあ一緒に作ろう」となるのが、あのふたりの関係性だと思って演じていました。

――森宮さんが優子といることで「未来の楽しみが2倍になる」「明日が2つになる」と言ったセリフも印象的でした。ご自身ではどのようなお気持ちで演じていらっしゃいましたか。

田中:あのような言葉は、実は、僕が常に思っていることなので、普通のことを言っているなという感じでした(笑)。完成した映画を観ると、すごく彼の人生が楽しそうに映りました。それは優子ちゃんと森宮さんが作った世界だからこそで、すごく素敵な親子を演じさせていただけたな、と誇らしかったです。

――インタビューの際はかけていらっしゃいませんでしたが、撮影のときは、劇中のめがね姿の森宮さんのように、田中さんもめがねをかけていらっしゃるのですね。

田中:そうなんです、森宮さんだから、めがねをかけて撮影しています(笑)。

――映画ではいろいろな家族の姿が描かれていますが、おふたりにとって、家族とはどういう存在ですか。

田中:場合によって、常に家族といるのが正解だとは限らないときもあると思うんです。家族って、一番近くにいる人たちじゃないですか。でも、それぞれ人によって、家族の形も違うでしょうし、年齢によっても捉え方が違うはず。とはいえ、離れていても、近くにいるような存在というのは、間違いないかなと。

永野:味方ですね。私がすごく悪い人間になったらわからないですが、失敗しても、頑張っている姿を見せても、一緒に喜んでくれる。もちろん友人や先輩といったいろいろな方も声をかけてくださいますが、家族が一番ストレートな意見を言ってくれるから。一番、言葉を信じなきゃいけない人たちだなと思いますね。