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「クレカを作るなら知っておかないとヤバいこと」を専門家に聞いてきた

ひとり暮らしに役立つ情報を届ける特集「ひとり暮らしの神」。ファイナンシャルプランナーの平井美穂さんに、新社会人向けたクレジットカードの基礎知識を聞きました。

社会人になると、クレジットカードがあると便利なシーンが多々あります。

ネットでの買い物はもちろん、ETCカードの作成やサブスクリプションサービスの利用もクレジットカードがあるとスムーズです。

海外旅行をするなら、現金を持ち歩くよりも安心です。

しかし、いざクレジットカードを作ろうと思っても、どの会社を選べばいいのかわからないもの。

そこでファイナンシャルプランナーの平井美穂さんに、初めてのクレカ選びのコツや落とし穴を聞きました。

初心者のみならず全クレカ保持者が知っておくべきテクもあります。

――さっそくですが、新社会人が初めてのクレカを作る上で意識すべきポイントはありますか?

平井:年会費、還元率、金利の3つです。もっとも重視すべきポイントは年会費ですね。

年会費は無料から高いものだと10万円くらいのものもありますが、良い機能がついているものがいっぱいあるので、まずは年会費無料のものがおすすめです。

――私の友人に格好つけて年会費がかかるカードを作った人もいました。


平井:
費用対効果を冷静に考えて、まずは無料カードを持つと良いでしょう。

平井:次に還元率です。普段、自分がどこでお金を使うかイメージして、そこに対して還元率が高いカードを選ぶのが上手い財テクです。

――通販利用が多い人は、Amazonカードや楽天カードも選択肢のひとつということですね。

平井:おっしゃる通りです。例えばよく車に乗っている方は、年間のガソリン代が多いのであればガソリンスタンド系のカードがいいと思いますし、飛行機利用の多い方であれば航空会社系のカードが良いのかもしれません。

――3つ目の”金利"とは?

平井:キャッシングやカードローン、リボ払いなど借金の機能です。クレジットカードって、ショッピング利用して翌月一回払いやボーナス一括払いにすれば金利がかかりません。

分割払いを選んだりキャッシングをすると借金していることになり、金利がかかります。これはカード会社によって違いますので、少しでも低いものを選ぶのがコツです。

クレジットカード=信用情報

――私は過去にリボ払い沼にはまった経験があります。このようなクレカの思わぬ落とし穴があれば教えてください。

平井:いっぱいありますよ。クレジットカードの延滞を理由に住宅ローンを組めなかったという方もいました。

住宅ローンの審査が通らない一番の理由はこれです。実はクレジットカードを作った時点で自分の「個人信用情報」というものができあがっているんです

――なんですかそれ…?

平井:
毎月ちゃんと返済しているか、延滞したかが履歴として残るんです。

3回連続で延滞するなどひどい履歴があると、5年、場合によっては10年間データが残ることがあって。

若気の至りでやってしまった思わぬ延滞が原因で、住宅ローンの審査に落ちてしまったケースがあります。

――例えばどんなケースがありますか?

平井:
飲みに行った店で持ち合わせが足りず、いつもは使っていないクレジットカードをたまたま使ってしまった人がいました。

そのカードの返済口座になっている銀行も長い間使っていなくて、残高がなかった。

しかも届出ていた住所や電話番号が過去のものだったので、督促の連絡に気づけなかったんです。

平井:結果、本人が知らないところで10年以上も延滞していました。住宅ローンの審査に落ちた理由がわからず、自分で個人信用情報をとりよせてはじめてわかったんです。

それでも返済してから5年はデータが消えないので、その間は住宅ローンが借りられないんです。

私が知る中で一番ダメージが大きい落とし穴はこれかなと思います。

――誰にでもありえそう。

平井:若いうちから信用だけはキレイにしておくようにと、学生に対する授業や新入社員研修でもよく伝えています。

身を汚さぬコツがある?

平井:極端な話、延滞して事故歴を作るくらいなら自転車操業するほうがまだマシです。

自転車操業の仕方もいろいろあるんです。その一つが、銀行の総合口座の自動融資(自動貸付)という機能。

銀行の定期預金に10万円でもいいから入れておいて、総合口座(普通預金と定期預金をセットにしたもの)の自動融資機能をつけるという手です。

平井:例えば1万5000円の請求があって、クレジットカード返済口座に1万円しか入っていなかった場合、1万5000円全部が延滞になります。

しかし定期預金に10万円の残高があれば、その9割を限度に不足分が自動で融資されるんです。

翌月普通預金に給料などが入れば自動返済してくれるので、信用情報に傷がつかないんです。

――すべてのクレカ保持者がやっておくべきかも。そして余計なカードは作らない・持たないのが無難ですね。


平井:多くても2枚までにしておくとよいでしょう。あと陥りがちな罠としては遅延損害金です。

返済が一日でも遅れると、ショッピング利用の場合14.56%、キャッシング利用の場合20%ほど遅延料がとられます。

これは日割り計算で1日遅れただけでも発生します。キャッシング10万円の返済が1年間遅れた場合、遅延損害金は約2万円となります。

将来的なメリットもある

――逆にあまり知られていないクレカのメリットはありますか?

平井:
もちろんありますよ。クレジットカードを正常につかっていれば、利用履歴がその人の信用の蓄積になります。銀行でローンを借りるとき、この信用の蓄積が審査でプラスに働きます。


――将来融資を受けるときに有利になるんですね。

平井:
そうです。あとは、個人信用情報ってクレジットカード会社も銀行も共通して同じデータを見ています。

クレジットカードの履歴がどうかを審査の判断にしているので、カードを持っていて正常に返済し続けていれば信用がある人と見られるんです。

とにかく延滞せず、管理ができる範囲に留めておくのが大切です。

――なるほどありがとうございました。ちなみに、平井さんが初めて作ったカードってなんですか?

平井:
まず自分が一番どこで買い物をするか思い浮かべたとき高島屋だったので、高島屋系のカードを作りました。

このカードの場合、高島屋で買い物をすれば8%から10%のポイントがつきます。年間を通して買い物したものの10%が商品券として戻ってくる、これは大きいです。

今は還元率の高い東急カードも持っています。東急沿線に住んでいて、東急ストアをよく使い、家の電気などのインフラやケーブルテレビなども東急縛りにするとけっこう還元されますよ。

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