「日本を訪れた際にチーム全員でクレーンゲームにドハマリし、そこから着想を得た」という、スイス発のインディーゲーム『ダンジョンクロウラー』(Steam)が注目を集めています。3月23日にデモ版がリリースされると、日本だけでこれまでに1000件以上のSteamウィッシュリスト入りを獲得しているとのこと。
開発しているのは、インディーゲーム開発チーム「Stray Fawn Studio」。一体どんなゲームなのか、また日本のクレーンゲームのどこがそんなに魅力的だったのか、開発チームにメールでお話をうかがいました。
早速デモ版を遊んでみると……
くぼんだ部分をよーく狙ったり、ツメにうまくひっかけたり、時には2個取りを狙ったり……『ダンジョンクロウラー』は、そんなクレーンゲームの興奮をダンジョン探索バトルに落とし込んだゲームとなっています。
クレーンゲームで獲得したアイテムがそのまま戦闘のステータスになるこのゲームでは、敵よりも“クレーンゲーム”とどう向き合うかが求められます。システムは名作ローグライト『Slay the spire』を踏襲していますが、遊び心地はまるで違う印象です。
必要な量のアイテムを獲得するためにクレーンを操作すると、ギリギリで滑り落ちて一つ足りず悔しい思いをしたり、逆に考えてもいなかったアイテムが取れて意図せず戦況が有利になんてことも……クレーンの気まぐれでピンチもチャンスも到来するドキドキが、ゲームセンターで味わったことのある、あの緊張感を思い出させてくれます。
このクレーンゲームが攻略のカギを握るシステムはゲーム内で徹底されており、戦力を大幅に強化できるボーナスステージですらクレーンゲームの実力が求められます。
時には欲張って2個取りをしようと目論むも、どちらも取れずに未強化になってしまったということも……この感情、ゲームセンターで体験したことあるな……。
ゲーム開発者にお話を聞きました。
――東京ゲームショウで日本を訪れた際にゲームセンターでクレーンゲームやカプセルトイにのめり込んだと聞きました。それはいつごろのことですか?
2023年10月に東京ゲームショウに行きました。
スイスにいたときからカプセルトイは好きでしたが、日本のカプセルトイはディテールが細かく、デザインにもこだわっていてクール。しかも、とても安い。
私たちのチームは合計で200個以上のカプセルトイを持ち帰ることになりました。
――スイスでクレーンゲームやカプセルトイで遊んだことはありましたか?
ヨーロッパやアメリカでは、クレーンゲームはあまり人気がありません。これは日本のゲームに比べると、とてもつまらないからだと思っています。
機械のバリエーションはほとんどないし、機械はテクニックでカバーできる部分が少なく、公平性にも欠けていると思います。
それでも子どもの頃、お小遣いをすべてゲームにつぎ込んで夢中になったものです。
――日本でクレーンゲームやカプセルトイを遊んで、どう感じましたか。どれくらい夢中になったか、教えてください。
スイスのクレーンゲーム事情をお話ししましたが、そんな我々の目の前に日本の多彩なクレーンゲームが置かれ、遊べたことがどれほど幸せなことか想像してみてください!
子どもに戻り、キャンディーストア(※日本における駄菓子屋のようなイメージ)にいるような夢のような気分でした。
アニメやかわいいデザインが大好きなメンバーが多いので、目についたゲームセンターやカプセルトイ屋に片っ端から入って、景品をゲットしようとしました。
おもちゃを交換し合ったり、チーム全員でひとつのクレーンゲームを囲み、チームメイトが景品をとるのを応援したり、景品を取る手助けをするため、交代でプレイすることもありました。
そのすべてが「ドキドキ、ワクワク!」の体験でした。
ちなみに、日本のゲームセンターのクレーンゲームは、テクニックをマスターすれば5回に1回程度取れるような体感でした。
――クレーンゲームやカプセルトイの楽しさを『ダンジョンクロウラー』に落とし込むにあたって、どんな点にこだわりましたか。日本のプレイヤーに特に注目してほしい点はありますか?
アーケードで感じた興奮を表現しようとしました。
「これは無理だ」と思っていたのにいきなりプライズが獲得できた瞬間。
逆に、あと少しで取れそうだったのにツメが外れてしまう呪われた瞬間も。
また、日本の機種では追加でボタンを押すと爪を早く閉じられることを知り、それもゲームに加えましたね。
私たちは日本を旅している間に素晴らしい時間を過ごしました。『ダンジョンクロウラー』は、その感謝の気持ちを込めたゲームです!
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『ダンジョンクロウラー』は3月23日から、Steamにて無料のデモ版が配信開始。製品版では日本語にも対応し、2024年の第3四半期に発売される予定となっています。
海外から見た日本のアミューズメントの魅力は、私たちが感じるのとは違った魅力を秘めているかもしれません。