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3年ぶりツアーVのリディア・コが語った『勝ち続ける重圧』【武川玲子コラム】

2021年4月21日 06時00分

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ロッテ選手権を制したリディア・コ(AP)

ロッテ選手権を制したリディア・コ(AP)

 「復活優勝」のフレーズは流行するだろうか。松山英樹が3年9カ月ぶりの勝利でマスターズを初制覇した翌週、女子のリディア・コ(ニュージーランド)がロッテ選手権で3年ぶりにツアー優勝を果たした。
 「スピース、ヒデキ・マツヤマの勝利がとても励みになった」。表彰式で喜びを語ったコは、マスターズの前週にジョーダン・スピース(米国)が4年ぶりに勝ったことにも触れた。
 2012年、米女子ツアーのカナダ女子オープンに15歳で勝利というツアー最年少記録を打ち立て、15年エビアン選手権では最年少メジャーチャンピオンとなった。「天才少女」は次々と記録を塗り替え、あっという間に世界ランキング1位へ駆け上がった。
 この頃は今とまるで違うルックスだった。丸い大きな眼鏡がトレードマークで「アラレちゃん」などと呼ばれた。しかし勝ち続ける反動なのか、眼鏡を外し、髪を金髪に染めた。体はすっかり細身となり、「激やせ」とささやかれることも。勝てない時期と重なったことから、心身を不安視する声が上がっていた。
 そんなコが大きく変わったのは昨夏のこと。タイガー・ウッズ(米国)の元コーチ、ショーン・フォーリーとタッグを組んでからだ。黒髪に戻し、トレーニングを積んだ体は筋肉がつき、健康的になった。
 最終日の朝、コはコーチから「自分を信じること」とつづられたメッセージを受け取った。「その言葉をピン位置を示すシートに書き込んだ」。18ホール、ずっと見つめながら戦った。
 「『もう勝てないとは思わなかった』と言うと、うそになる。自分に期待をかけ、それはプレッシャーになった。だけど家族やチームが支えてくれた。たとえ勝てなくなっても私のことを愛してくれる」と、心の内を明かした。松山もジョーダンも同じ気持ちだったのかもしれない―。そんな思いを抱くコの勝利だった。(全米ゴルフ記者協会会員)
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