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小松礼雄ハース新代表が初陣飾る

2024年3月5日 08時41分

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小松代表(手前)の“デビュー戦”で、チームは昨季の最大の課題を克服した(尾張正博撮影)

小松代表(手前)の“デビュー戦”で、チームは昨季の最大の課題を克服した(尾張正博撮影)

 30数年前にテレビでF1を見て「これはスゴイな!!」とレースに魅了された日本人中学生が、今年から、世界で10人しかいないF1チーム代表として活躍している。ハースの小松礼雄(あやお)さん(48)だ。ギュンター・シュタイナー前代表に代わり、1月に現場の技術者を統率するエンジニアディレクターから昇格した。
 「このチームで創設時からやってきて、こういうチャンスを与えられたら、やるしかないでしょ。人生は1回しかないんだから」
 代表になると、3つのテーマを掲げた。1つ目は明確な目標、2つ目はその目標を達成するための戦略。そして、3つ目がスタッフ同士のコミュニケーションだ。
 プレシーズンテスト前に掲げた目標は、タイヤマネジメントを向上させることだった。「われわれが昨年苦しんだ最大の問題。だからテストは欲張らず、それを解決することだけに専念して、全てのプログラムを見直した」。テストは初日から最下位だったが、想定済み。かつ、その思いをチーム全員で共有できていた。結果に浮足立つことのないスタッフたちを見て、「いい方向に向かっている」と実感した。
 それは開幕してからも変わらなかった。フリー走行では常に燃料を多めに搭載し、レースを見据えたロングランでのタイヤの使い方を学んだ。
 迎えた決勝。10番グリッドからスタートしたニコ・ヒュルケンベルグは出遅れたものの、15番手スタートのケビン・マグヌッセンが最後までライバルたちとポイントを懸けたレースを披露した。惜しくも入賞は逃したが、12位でフィニッシュ。昨年抱えていた最大の問題を克服してみせた。
 地道な取り組みを続けて結果を出し、たたき上げでF1チームのトップに上り詰めた小松代表。遠く離れた母国へ、こんな思いを寄せる。
 「日本で落ちこぼれそうな学生時代を送っていた私のような人間でも、努力していればF1のチーム代表になれるということが、日本の皆さんの勇気につながっていたとしたらうれしい。皆さんも夢や目標があるんだったら、まずは勇気を持って一歩踏み出してみて。やってみなければ分からないんだから」 (F1ジャーナリスト=尾張正博)
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