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”アユ盛哀”テーマに講演 JOFI愛知総会 愛知県水試の中嶋部長

2024年4月20日 05時05分

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記念講演する愛知県水産試験場の中嶋部長

記念講演する愛知県水産試験場の中嶋部長

 全日本釣り団体協議会・愛知県釣りインストラクター連絡機構(JOFI愛知、代表・大内徳明)の定期総会が7日、名古屋市港区の名古屋港湾会館で27人が出席して開かれた。会計報告など議案が審議され承認された後、愛知県水産試験場・漁場環境研究部の中嶋康生部長が“アユ盛衰”をテーマに記念講演をした。 (東條敏明)

冷水病やカワウ対策30年

 中嶋部長の講演は「アユ漁場・遊漁の盛衰-河川での冷水病の発生から30年-」と題して行われた。資料などから抜粋、要約した。
 琵琶湖に生息するアユは、明治後期(1900年ころ)まで、河川を遡上(そじょう)して20~30センチに育つオオアユと、湖にいて7~10センチにしか育たないコアユの2種類がいると考えられていた。しかし、コアユを河川放流すればオオアユに育つことが実証されたのを機に放流や養殖が1930年ごろから盛んになったが、91年をピークに漁獲量は下降した。
 なぜ低下したか。87年、徳島県のアユ養殖場で、93年、広島県の河川でともに冷水病が確認され、湖産種苗の放流を通しての冷水病被害が全国に広がったからだ。さらに91年のバブル崩壊もあり、需要も大幅に減少した。また、90年ごろからカワウのねぐらが各地へ分散し、食害が拡大されたのも一因となった。
 2002年、愛知県は「アユ冷水病対策取り組み方針」を定めて対策・研究を行い、海産系は冷水病に強い、湖産と海産系の混合放流は冷水病被害を招く、天然遡上は冷水病に強いなどが分かった。投薬で治療したアユは冷水病の感染源となる可能性がある、23度の加温処理では冷水病が発生する可能性があることも分かり、近年の湖産種苗業者の対策は、28度で3日間の加温処理を行っている。これにより冷水病菌の再発を防止する効果があり、排水を通して冷水病菌が環境中へ流出するのを防止できるようになった。
 カワウについては、滋賀県では08年まで猟友会が散弾銃で捕獲をしていたが、翌年から専門的・職能的捕獲技術者が空気銃で捕獲を始め、顕著に減少した。以上、各種対策で漁獲量などは一時的に回復したが、単価上昇に伴う放流数の減少や余暇支出減少・レジャーの多様化などで減少傾向に歯止めはかかっていないという。
 釣り人口は1000万人余で、海釣り5割、内水面3割、釣り堀2割。内水面の1位はヤマメ・アマゴ119万人、イワナ86万7000人、ニジマス82万4000人で、アユは77万6000人で4位だった(中村智幸2019日本における海面と内水面の釣り人数及び、内水面の魚種別の釣り人数による)。
 聴講した中日釣ペンの小池辰雄さん(75)は、「意義のある面白くて素晴らしい講演だった」と話した。

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