ルノーの創始者ルイ・ルノーが誕生。ドライブシャフトを使ったFR方式を発明して自動車メーカーを設立【今日は何の日?2月12日】

■125年前にフランスを代表するルノーを創業したルイ・ルノー

ルノー3兄弟。中央がルイ・ルノー (C)Creative Commons
ルノー3兄弟。中央がルイ・ルノー (C)Creative Commons

ルノーの創業者ルイ・ルノーは、1877(明治10)年2月12日にフランスのパリ郊外にあるビヤンクールで生まれました。

1898年、21歳の時に、エンジンをフロントに搭載した現在のFRの原型となるプロペラシャフトによるFR方式を発明、その翌1899年に、2人の兄とともに「ルノー・フレール社」を設立しました。


●プロペラシャフト式FRの発明による特許料でルノーを設立

ルイ・ルノーは、フランス・パリ郊外のビヤンクールで、ボタン製造業を営む裕福な家庭の四男として生まれました。

1899年初の市販車「ヴォワチュレット」を運転するルイ・ルノー(C)Creative Commons
1899年初の市販車「ヴォワチュレット」を運転するルイ・ルノー(C)Creative Commons

子どもの頃からエンジンの研究に没頭して、1898年に3輪車を4輪式に改造する取り組みの過程で、現在のプロペラシャフト式によるFRの原型である“ダイレクト・ドライブ・システム”を発明。

この斬新な機構で、ルイ・ルノーは1899年にフランス特許を取得、世界中の自動車メーカーが採用したことで、1914年に特許が切れるまでの間にルノーには莫大な特許料が転がり込んだのです。

その特許資金をもとに、1899年に2人の兄とともに「ルノー・フレール(ルノー兄弟)社」を設立。同年には、車の生産を始め、第一次世界大戦前にはパリのほとんどのタクシーを受注し急成長しました。

●戦後は国営企業として成長、民営化された後に日産と提携

戦時中にルノーは、フランス軍の主要サプライヤーとして生産を拡大し、自動車に加え戦車、航空機エンジン、航空機を製造。しかし、第二次世界大戦でフランスがドイツに降伏すると、ルノーはドイツ軍の圧制下に置かれます。

大ヒットしたルノー4(1961年 - 1993年)(C)Creative Commons
大ヒットしたルノー4(1961年 – 1993年)(C)Creative Commons

戦後フランスが解放されると、ルノーの資産は国に没収され、1945年にルノーは国有化されて「ルノー公団」となりました。1947年にタクシーとして普及した小型車「4CV(キャトルシュヴォ)」で大成功し、1961年には車のジーンズと呼ばれた「ルノー4(キャトル)」、1972年には「ルノー5(サンク)」がヒットして、フランスを代表する自動車メーカーの地位を確立します。

その後も、1965年に高級ハッチバック車「ルノー16(セーズ)」、1984年にはモノスペース・カー「エスパス」、1990年代も「ルーテシア」や「メガーヌ」、「ラグナ」などの相次ぐヒットモデルを発売しました。

そして1990年、戦後45年を経てルノーは株式会社となり、1996年には完全に民営化されました。カルロス・ゴーン氏が、ミシュランからヘッドハンティングされたのもこの時期でした。そして、1990年代にバブル崩壊の影響などで経営危機に陥っていた日産自動車と1999年に提携、6000億円を出資して傘下に収めたのです。

●日産を傘下に収めるも2023年に対等な関係に変更

ルノーと提携した日産は、当時ルノーの副社長だったゴーン氏が最高経営責任者に就任し、大胆なリストラ策などの“日産リバイバルプラン”によってV字回復を果たしました。その後2015年に三菱自動車が加わることで、ルノー・日産・三菱の3社連合が出来上がり、2017年には販売台数で世界第2位となりました。

しかし、ゴーン氏が2018年の金融商品取引法違反や特別背任法など一連の疑惑によって退任。この頃から、ルノーからの経営統合の要求などもあり、日産内でルノーとの対等でない関係に不満が募り、日産は不平等提携解消の動きを加速しました。

ルノーは、その要求を当初は渋りましたが、結局2023年2月に日産への出資比率を43%から15%に下げて、対等な関係にする新たな提携で合意したのです。


100年以上の歴史を持つルノー、日本ではドイツメーカーに押されて比較的地味なメーカーに見えますが、世界的なヒットモデルの他にも、F1やル・マンでの数々の活躍など、モータースポーツでも華々しい実績のあるメーカーです。日産との提携に関わるゴタゴタもありましたが、生まれ変わった新たなルノー・日産・三菱の3社連合に注目です。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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