日活ロマンポルノ50周年 堕ちてこそ神々しい谷ナオミ…今も色褪せない3人の女優たち

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男に崩されるのではなく、自ら崩れていく

 まずは初代SMの女王と呼ばれている谷ナオミだろうか。その豊満で美しい肉体にまず圧倒される。どんなに脱いでも縛られても、彼女からは冒されることのない気品が漂う。代表作『花と蛇』もいいが、谷ナオミの魅力が凝縮されているのは同じ小沼勝監督の『花芯の刺青 熟れた壷』(1976年)だ。人形作家の未亡人の谷と、義理の娘の嫉妬と葛藤。薄幸の未亡人が堕ちていったとき、そこに渦巻く女の凄絶なエロスを谷ナオミはその肉体で思う存分、表現する。堕ちてなお神々しい、いや、堕ちてこそ神々しい谷ナオミ。さらにこの映画では彫師の蟹江敬三がまた、すさまじい演技を見せる。彫る男と彫られる女。その緊張感が解けたとき、エロスは爆発する。彼女の目線ひとつで、柔な男はイチコロになるのではないか。畏れ多くて話しかけることもできないかもしれない。

 強固な意志が肉体の快楽によって崩れていく。男に崩されるのではなく、自ら崩れていくのが谷ナオミ演じる女なのだ。そこに同性としてたまらないエロスを覚える。

 そんな女王の意外な魅力を発掘したのが神代辰巳監督だ。『悶絶!!どんでん返し』(1977年)では、谷ナオミの素晴らしいコメディエンヌぶりを見ることができる。少し頭のネジが緩んでいるような、それでいて本質を突くような言葉を吐く女を、彼女は軽々と演じて見せる。女のかわいらしさをこれまでかと見せつける彼女の演技の幅の広さに驚かされるだろう。

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