ゴールデンウイーク明けは、夏休み明けと並んで「子どもが学校へ行きたがらない」ケースが増えるといいます。いわゆる「行きしぶり」です。実際、不登校の小・中学生は年々増え続けています。実際にわが子に不登校の兆候が見えたらどうすればいいでしょうか。『AERA with Kids 春号』(朝日新聞出版)で、不登校の問題に詳しい、前東京都杉並区天沼小学校校長の福田晴一さんと、LITALICO研究所主席研究員の亀田徹さんにうかがいました。

亀田徹さん/LITALICO研究所主席研究員。前職の文部科学省ではフリースクール等を担当する日本初の視学官として、不登校の子どもへの支援策を推進(撮影/写真部・大野洋介)
亀田徹さん/LITALICO研究所主席研究員。前職の文部科学省ではフリースクール等を担当する日本初の視学官として、不登校の子どもへの支援策を推進(撮影/写真部・大野洋介)

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亀田:「不登校」というと一般的な印象としては、1日も学校に行っていない状態のように思われていますが、実はそうではないんですよね。

福田:そうですね。「不登校」の定義もさまざまに解釈されていますが、文部科学省の調査による不登校の定義は、「年に30日以上の欠席(病気や経済的な理由によるものを除く)」を「不登校」としていますね。年間の授業日数は約210日ですから、だいたい週に1回欠席するだけでも「不登校」にカウントされます。

亀田:文部科学省の調査では「年に30日以上の欠席」をしている小・中学生は約13万4千人もいるといわれています。この状況を受け、国の方でも、「学校以外の学びの場」を認めるように徐々に変わってきているのです。平成9年度以降、毎年10万人を超える不登校児童・生徒をそのままにしておくことはできませんから。

福田:私が以前校長をしていた東京・杉並区でも「学校以外の学びの場」は充実してきていました。まず一つは「適応指導教室」と呼ばれるクラス。これは公的な居場所で、公民館や図書館などにその場が設けられています。また「ふれあいフレンド」と呼ばれる訪問相談員による在宅支援もあります。これ以外に、フリースクールを選ぶお子さんもいます。

亀田:フリースクールには学習指導要領のような公的な指導基準はありません。学習カリキュラムを決めているところもありますが、決めていないところもあります。そこでは子どもたちは一日中ゲームをしたり、おしゃべりをしたり、時には勉強したりして過ごしているのですが、私は「これはこれでいい」と考えています。保護者の方にとっては不安かもしれませんが、子どもたちは自分なりに考えて過ごしているし、お子さんの状況によっては「休む」ことも必要だからです。

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AERA編集部
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