同じウエアは二度と着ない!? ツアープロのゴルフウエアは年間どれぐらい提供されている?

トーナメント中継を見ていると、ツアープロは毎日異なるウエアを着ているが、一体どれぐらいの枚数を持っているのだろうか。一度着たシャツはもう着ないのだろうか。その謎を探ってみた。

トッププロになると同じウエアを着ることはない!?

 ゴルフの場合、多少のドレスコードはあるものの、ウエアに関しては他のスポーツよりも自由に感じる。自分が好きな色やデザイン、機能性はもちろん、ブランドも選べるからだ。そのぶん、迷うことが多く、一般アマチュアゴルファーでさえ、ラウンド当日にどのようなウエアを着ていくか頭を悩ませる。

 ツアープロもトーナメントに出発する前に、練習日から最終日までのウエアを決めるルーティンがあるという。もっともウエアだけでなく、キャップやバイザー、ベルト、スパイクも含めてのコーディネートになるだけに、一般アマチュアよりも遥かに時間がかかる。

それぞれ異なるブランドの華やかなウエア姿が見られるのも女子ツアーの魅力 写真:Getty Images

 ところで、男子ツアーや女子ツアーの4日間大会だと、練習日から最終日までプレーするとなれば、最低6セットは必要となる。年間30試合にも出ればなんと180セットになる計算だが、果たしてプロはそれだけのウエアを持っているのだろうか。

 結論からいえば、ほとんどのツアープロはそんな数のウエアを用意していない。過去のウエアを含めればそのぐらいの数にはなるだろうが、トーナメントに出場したり、メディアなどに露出する場合、原則としてその年度のモデルを着用するため、以前のウエアを着ることはできない。となれば、洗濯をして着回すしかないというのが現実だ。

 ちなみにウエアの中で最も数多く提供されるのがポロシャツになる。夏場に30~40枚ほど提供されるパターンが多いとのこと。

 ただし、ボールやグローブと同様に選手によって提供される枚数は変わってくる。トップクラスのプロになれば、テレビやメディアなどに露出する回数も一気に増えることもあり、ほぼ無制限になる。

「同じウエアを着たことがないし、メーカーから送られてきたシャツの中には着ないものもある」と語るぐらいだ。

 メーカーにとってトッププロは動くマネキン人形とも言えるだけに、1枚でも多くのウエアを着てもらいたいところなのだろう。実際、渋野日向子が19年の全英オープンで優勝した際に着用していたウエアはすぐに完売状態だった。

試合に出場できない男子プロは自腹で購入することも

 ゴルフクラブ同様、ウエアに関しても実力のあるトップアマがプロに転向した途端、メーカーと契約するケースが多い。特に最近の女子プロはこの傾向が強く、所属先よりも先に決まるぐらいだ。

ド派手なウエアながら多くのアマチュアゴルファーがマネをした尾崎将司 写真:Getty Images

 いっぽう、男子プロの場合は話が変わってくる。シード選手や賞金ランキング上位の選手なら心配することはないが、プロになったばかりの選手やレギュラーツアーに出場できない選手だと、提供される枚数もグッと減ってくる。

 思わず、どうやって着回せばいいんだよと言いたくなるような枚数だというのだから驚きだ。もっとも、契約すらしてもらえず、自腹で購入する選手も少なくない。

 そのぶん、いろんなブランドのウエアを着ることができるとも言えるが、単価が高いだけに結構な出費になってしまうのは痛いところだ。
 
 むしろ、試合に出ていない選手よりも、テレビや雑誌などのメディアに露出する機会が多いツアープロコーチやレッスンプロのほうがウエアメーカーと契約しているように感じるし、提供される数も圧倒的に多いのではないか。場合によってはシード選手よりも待遇がいいことさえあるほどだ。

 ウエアの場合、クラブやボールよりもどこのブランドかすぐ分かるだけに一般アマチュアへの影響力は大きい。ひと昔前はジャンボ尾崎スタイルが流行り、タイガー・ウッズや石川遼をコピーしたようなゴルファーもよく見かけられたが、最近はそういったゴルファーは少ないように感じる。それだけ魅力的なツアープロが少なくなったのかもしれない。

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ユ・ヒョンジュ 写真:Getty Images
ユ・ヒョンジュ 写真:KLPGA提供
ユ・ヒョンジュ 写真:KLPGA提供
それぞれ異なるブランドの華やかなウエア姿が見られるのも女子ツアーの魅力 写真:Getty Images
ド派手なウエアながら多くのアマチュアゴルファーがマネをした尾崎将司 写真:Getty Images

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