「米韓同盟の基礎体力が落ちている」

新型コロナウイルスのワクチン確保に苦戦している文在寅大統領は4月26日、「ワクチン開発国が自国優先主義を取り、強大国がワクチンを買い占めている」と発言。韓国メディアは、同盟国であるアメリカを実質的に批判したと指摘しています。ところが、この発言のわずか12時間後、アメリカ政府は6000万回分のワクチンを他国に提供すると発表しました。変異ウイルスが猛威を振るうインドなどが対象となる見通しですが、文大統領はアメリカの動向を十分に把握しないまま、批判したとみられています。5月に開催される米韓首脳会談を前に、意思疎通もまともに出来ずに、不必要にアメリカを批判したとして、保守系メディアからは「米韓同盟の基礎体力が落ちている」と悲鳴が上がっています。(ソウル支局長 渡邊)

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「マスクなし宣言」で狙う“心変わり”

ワクチン接種が急速に進む中、アメリカ人の生活を劇的に変化させる“重大発表”がありました。
バイデン大統領:「ワクチン接種が完了している人は屋外の密でない場所でのマスク着用は必要なくなった」
バイデン大統領は会見で、ワクチン接種を終えた人は、人が密集していない屋外でのマスク着用は必要ないと宣言。全人口のおよそ3割でワクチン接種が完了し、死者数も大幅に減ったことを受けて緩和措置を発表しました。ワシントンの観光地でも、発表当日から数日の間にマスクを着けない人が急増しています。マスク着用を繰り返し訴えてきたバイデン大統領による「マスクなし宣言」。決断の背景には、接種を拒否する一部の国民を“心変わり”させる狙いもありそうです。(ワシントン支局長 藤田)

発表当日から数日の間にマスクを着けない人が急増
発表当日から数日の間にマスクを着けない人が急増

レーニンの遺体を択捉島に移転?

今は隠れて見えませんが、あちらのピラミッド型の墓に安置されている、レーニンの遺体を択捉島に埋葬するアイデアが飛び出しました。北方領土を事実上管轄しているサハリン州の州都・ユジノサハリンスクの市議会議員が自身のSNSで、「ロシア革命の父」レーニンの遺体を択捉島に埋葬しようと呼びかけました。1924年に死亡したレーニンの遺体は首都モスクワ・赤の広場に生前の姿で安置され、一般公開されています。歴史上でも著名な指導者だけに、市民は遺体の移転には否定的です。
市民:「レーニン廟はモスクワの名所で、国民にとって大切な場所だ。変わってほしくない」
それでも市議は墓石のイメージ図を公表し、「埋葬した島に多くのロシア人観光客が訪れることになり、日本の領土要求問題に終止符が打てる」と強気に主張しています。(モスクワ支局長 関根)

「ロシア革命の父」レーニン(提供:共産党モスクワ支部)
「ロシア革命の父」レーニン(提供:共産党モスクワ支部)

赤いたすきで笑顔で引き継ぎ

宇宙飛行士の星出彰彦さんが3回目の宇宙滞在をスタート。ISS=国際宇宙ステーションで日本人2人目となる船長を務めています。
「彰彦、指揮権を譲渡します。」
「シャノン、指揮権を受け取りました。ありがとう」
星出さんはクルーに「チーム一丸となって、ミッションを達成しましょう」と呼びかけ、活動への意気込みを示しました。また、ISSでは2020年11月から滞在している野口宇宙飛行士とも再会、野口さんから赤いたすきが渡されると、笑顔で引き継ぎました。日本人宇宙飛行士が同時期に国際宇宙ステーションに滞在するのは、およそ10年ぶりです。船外活動などに精力的に取組み、地球に帰還する野口さんは、まず最初に「炭酸水が飲みたい」と話していました。(ニューヨーク支局長 上野)

野口さんから赤いたすきが渡され笑顔で引き継ぎ
野口さんから赤いたすきが渡され笑顔で引き継ぎ

「イスタンブール運河」計画に市長が反対表明

エルドアン大統領が進める運河建設計画に対し、地元のイスタンブール市長が記者会見を開き、あらためて反対を表明しています。このプロジェクトは、ボスポラス海峡のバイパスとなる全長45キロの「イスタンブール運河」計画で、6月の着工をめざしています。これに真っ向から反対するのが地元イスタンブールのイマモール市長です。
イマモール市長:「大統領は運河建設を国家プロジェクトと言うが、違う!これは選挙対策プロジェクトだ!」
市長は、運河の建設は水質汚染などの環境破壊につながる、1兆円規模とされる総工費の財源さえ示されていない、などとして計画の中止を要求。反対派の元将校らが当局に拘束される事態も起きる中、エルドアン大統領は、「何が何でもやる」と強気の姿勢を崩していません。(イスタンブール支局長 清水)

「イスタンブール運河」計画に反対するイスタンブールのイマモール市長
「イスタンブール運河」計画に反対するイスタンブールのイマモール市長

海外初披露!高さ18メートルのガンダム

日本の商業施設「ららぽーと」が海外初店舗を上海にオープン、中国の消費者を取り込めるか注目されています。最大の目玉は、高さおよそ18メートルのガンダム像。海外では初披露です。見た人は「すごい!『俺がガンダムだ』というセリフを思い出しました!」と話していました。また店内には、日本のゲームメーカーによる体験アトラクションの他、おなじみの飲食店やファッションブランドなどの店舗が軒を連ね、日本文化の魅力が楽しめます。訪れた人からは今は日本に行けないが、ここで雰囲気が味わえるといった声が聞かれました。ららぽーとはジャパンコンテンツによるリアルな体験を柱に、ネット通販全盛の中国で新たな顧客獲得を狙います。(上海支局長 森)

海外初披露のガンダム像
海外初披露のガンダム像

自動運転プロジェクト「アポロ計画」の拠点公開

ここはIT大手・百度が「世界最大」としている自動運転の開発拠点です。自動運転の車がずらっと並んでいます。百度は、自動運転プロジェクト「アポロ計画」の拠点として、2020年立ち上げた「アポロパーク」を海外メディアなどに公開しました。面積は1万3500平方メートルで、周辺の公道でも自動運転タクシーの実証実験を行っています。
記者リポート:「ハンドルを触らない状態で車が進んでいます。いま右折をしますが、交差点の進入も自然ですね」
すでにテストでの走行距離は1000万キロ以上、5月からは、完全無人状態での乗り合いタクシーの商用実験も始める予定で、政府の手厚い支援のもと開発を加速しています。(北京支局 岩佐)

公道でも自動運転タクシーの実証実験
公道でも自動運転タクシーの実証実験

アパートの屋上からレッドカーペット

ことしのアカデミー賞はロサンゼルス中心部にある駅の敷地が特設会場となっています。普段は乗客たちが行き交う場所にレッドカーペットが敷かれ、華やかな雰囲気に包まれています。異例の形で行われたコロナ禍のアカデミー賞。俳優たちは事前にワクチンの接種や複数回の検査を受けた上で、カメラの回っていないところではマスクの着用が求められました。例年世界中から集まるメディアはごく一部しか中に入れず、会場近くに人が集まらないよう広い範囲で通行止めになりました。そんな中、思いがけずラッキーだったのは会場の隣に建つアパートの住民たち。「こんなことは一生に一度しかない」と、屋上からレッドカーペットの様子を楽しんでいました。授賞式自体はアジア系女性の活躍が際立つ歴史的な結果となりましたが、ショーとしては盛り上がりに欠け、テレビ中継の視聴率は過去最低を記録しています。(ロサンゼルス支局長 益野)

隣に建つアパートから見えたレッドカーペット
隣に建つアパートから見えたレッドカーペット

2年ぶりのウィンブルドン選手権

テニスの4大大会、ウィンブルドン選手権が2年ぶりに戻ってきます。6月28日から2週間となる大会期間中は、感染対策のため観客数を25%に制限する方向ですが、状況に応じてさらに緩和される可能性もあります。新規の感染数が劇的に減少したイギリスでは段階的に規制の緩和が進み、街には人々の姿が戻りつつあります。一方、ワクチン効果を低下させる懸念があるインド型変異株は、これまでに132件確認され、政府はインドを渡航禁止国に指定しました。また、南アフリカ型変異株でもクラスターが発生、対象地域の住民全員に検査が科されるなど変異株への警戒が続いています。安堵感の中にも、どこか緊張を感じる春になっています。(ロンドン支局長 立石)

感染対策のため観客数を25%に制限する方向のウィンブルドン選手権
感染対策のため観客数を25%に制限する方向のウィンブルドン選手権

マスク未着用者に罰金

感染者が高止まりするタイでは、規制が強化され、マスクの未着用者に罰金が科されるようになりました。感染拡大の中心地・首都バンコクでは4月26日から公園やマッサージ店など多くの施設が閉鎖されたほか、マスクをしていない人には最高でおよそ7万円の罰金が科されます。規制強化の初日にはプラユット首相がマスクなしで会議に参加、批判を浴びたことから、罰金を納付する一幕もありました。こうした規制強化の一方で、タイ政府が急ぐのがワクチンの接種です。バンコク近郊のスワンナプーム国際空港では、本格的な海外客の受け入れに向け、空港を接種会場に変更し空港関係者や航空会社の職員への接種を進めています。ただ、タイ国内ではワクチンの接種が遅れていて、国民の不満が高まっています。(バンコク支局 池谷)

マスクなしで会議に参加し批判をあびたプラユット首相
マスクなしで会議に参加し批判をあびたプラユット首相

段階的な緩和に懸念の声

フランスでは感染者数が高止まりする中、外出規制の段階的な緩和が始まりました。まず小学校や幼稚園で3週間ぶりに対面授業が再開し、子供たちが元気に登校しました。
保護者:「心配はしていません。学校ではすべて対策が万全に進んでいます。子供たちにとっては家にいるよりも学校で過ごすほうがいい」
フランス政府は5月半ばにも飲食店のテラス営業や美術館などの文化施設の再開を検討しています。市民は緩和を歓迎していますが、感染者数はいまなお1日3万人程度、集中治療室の使用率も100%を超えていて、医療従事者からは「早すぎる」と懸念の声が上がっています。(パリ支局 藤田)

元気に登校する子どもたち
元気に登校する子どもたち

【取材:FNN海外特派員取材班】

国際取材部
国際取材部



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