福島県は和菓子大好き県。家計調査によると、福島市は全国で一番まんじゅう購入金額が多いという結果があるほど、県民にとって和菓子は身近なもの。そんな福島市に2023年7月で創業100年を迎える菓子店があった。伝統と挑戦の101年目へ。

手土産は必ずコレ!という人も

大正12年創業「中野屋菓子舗」 お菓子のオリンピック「全国菓子大博覧会」で賞を受賞するなど、その味は昔から高く評価されてきた。

飲食店街にあるため夜10時まで営業
飲食店街にあるため夜10時まで営業
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「茶まんじゅう」に「いちご大福」など数多くの和菓子が並ぶなか、創業当初から変わらぬ看板商品が…「豆大福」 食感がよいうちに食べてもらいたいと消費期限は”24時間”。平均して一日300個が売れるそう。

消費期限は”24時間” 平均して一日300個が売れる
消費期限は”24時間” 平均して一日300個が売れる

豆大福 おいしさのヒミツ

営業日は毎日お店で手作りしている。作業するのは三代目・早坂吉弘さんと、豆大福を作って65年の吉弘さんの母で二代目の豊子さん。なんと御年89歳!

二代目の豊子さんも熟練の技で
二代目の豊子さんも熟練の技で

豆大福作りは、餅をつくところからはじまる。そして蒸していたのが…こだわりの豆。通常、豆大福には「赤えんどう豆」を使うことが多いそうだが、中野屋菓子舗では香りや色味の良さから「青えんどう豆」を使っている。これは創業当初からなんだそう。

創業当初からのこだわり 青えんどう豆を使用
創業当初からのこだわり 青えんどう豆を使用

2種類をブレンドしたこだわりの塩を振り、餅と豆をよく混ぜたら…片栗粉をまぶしいよいよあんこを包む。ここからは豊子さんも一緒に作業。

二代目と三代目 親子で豆大福作り
二代目と三代目 親子で豆大福作り

三代目・吉弘さんは餡玉を作り、ひとつひとつ丁寧に包んでいくが…豊子さんは、餡玉を作らずに「ヘラ」で餡をとっていた。聞くと、これも豊子さんのこだわりなんだとか。

65年の感覚!?ヘラであんこを詰めていく
65年の感覚!?ヘラであんこを詰めていく

しかし三代目・吉弘さん曰く「仕上がりに多少ばらつきがあって…」でも「私の方がちょっと大きくて、原価計算をすれば母親のほうが正しいと思う」としっかりフォロー。一つ一つ違うのも手作りのよさなのかもしれない。

多少大きさにばらつきも…そこも手作りの良さ
多少大きさにばらつきも…そこも手作りの良さ

こうして出来あがったのが、創業から100年ほとんど変わらずに受け継がれてきた「豆大福」 三代目・吉弘さんは「お客様を大切にする気持ちと、材料を大事にして伝統を守っていきたい」と話す。

三代目:吉弘さん「お客様を大切に。伝統を守っていきたい」
三代目:吉弘さん「お客様を大切に。伝統を守っていきたい」

四代目の新風

一方で、2022年には大きな変化があった。三代目・吉弘さんが「お客様の層が広がって、お若いお客様がよくいらっしゃってくれるようになった」というその立役者が、吉弘さんの息子・四代目の知弥さん。

接客をする四代目の知弥さん
接客をする四代目の知弥さん

東京の洋菓子店などで約7年間修行を積み、2022年8月に中野屋菓子舗に戻ると洋菓子担当を任された。すると昔ながらのケーキを一新し、イマ風でオシャレな凝ったケーキにガラッとシフトチェンジ。

東京の洋菓子店などで修行を積み2022年に帰ってきた
東京の洋菓子店などで修行を積み2022年に帰ってきた

SNSでの発信も強化したことで、洋菓子の売り上げはなんと毎月、前の年の2倍以上に。
父・吉弘さんは「商品にしても丁寧さが全然違うので。やっぱり繊細、仕事が」というように、知弥さんから学ぶことも多いと話す。

四代目・知弥さんが作るケーキ SNSでの発信も強化
四代目・知弥さんが作るケーキ SNSでの発信も強化

四代目・知弥さんは「豆大福は昔からお客様に愛されている商品なので、その商品をずっと残しつつ、いま僕がやっている洋菓子も新しく皆様に受け入れて頂けるようなお店にしていきたい」と語る。

四代目・知弥さん「豆大福をずっと残しつつ洋菓子も皆様に受け入れて頂けるように」
四代目・知弥さん「豆大福をずっと残しつつ洋菓子も皆様に受け入れて頂けるように」

100年の重みを感じながら「伝統」と「挑戦」の101年目をまもなく迎える。

(福島テレビ)

福島テレビ
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