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第97回高校サッカー選手権はすでにベスト4が出そろい、12日に準決勝2試合が埼玉スタジアムで行われる。今大会に出場し、来夏の東京五輪を戦うU-23日本代表入りの可能性を秘めるホープ5人を紹介する。第1回はガーナ人の父、日本人の母を持ち、埼玉県草加市で生まれ育った矢板中央(栃木)のFW望月謙(3年)。5日の準々決勝で青森山田(青森)に惜敗したが、今春進学する日体大で191センチ、80キロのボディーに宿る規格外の身体能力に磨きをかける。 (スポーツジャーナリスト・藤江直人)
屈辱、ふがいなさを覚醒の糧にした。ベスト4に進んだ昨年の前回大会では、準決勝まで全4試合に先発出場しながら、全て前半で途中交代。その度に噛んだ唇の感覚が望月を変貌させた。
負傷など不測の事態が起こった場合を除けば、先発した選手が前半でベンチへ下げられる理由は決まっている。高橋健二監督の期待に応えられなかった1年前の自分を、望月は「メンタルに一番問題があった」と分析する。
「ボールを収められない、あるいは相手に競り負けたりすると、気持ちがどんどんマイナスになって、自信も失っていった。試合前も会場に入ってスタンドを見ると、それだけで雰囲気に圧倒されていました」
何度もチャンスを与えられたのは、望月の体に稀有な潜在能力が宿っていたから。今大会へ向けて登録されたサイズは身長190センチ。実際はどうかと聞くと、いたずらっぽい笑みを浮かべながらこう明かした。