(イラスト:古村耀子)
新型コロナの流行で初めての緊急事態宣言が出され、リモートワークの普及や外出自粛など、家にいる時間が一気に倍増した2020年。先の見えないコロナ禍のストレスもあり、ペットを飼い始める人が増えたと話題になりました。実際、経済産業省が発表している商業動態統計の「ペット・ペット用品販売額」は、2020年第II四半期に前年同期比8.2%増、第IV四半期に同13.8%増と、2020年以降8期連続の増加となっています。
しかし、生き物である以上、いつかは別れの時が来ます。長年、家族の一員として共にすごしてきた「うちの子」との別れは、思った以上にこたえるもので――。飯森美代子さん(長野県・行政書士・54歳)の別れは、思ってもいない猫の行動からでした……。

庭の餌を食べに来た三毛は3匹の子猫の母親だった

ふとした思い付きだった。おやつ程度の餌で庭に猫をおびき寄せてみよう──。当時、私は30代半ばで仕事を辞め、脳梗塞で左半身麻痺になった母の介護をしていた。慣れない介護でストレスがたまり、癒やしがほしかったのだと思う。

裏庭の石灯籠の下に餌を置く。2、3日して見るときれいに片づいている。また置いて、暇を見つけては観察。1週間が経った頃、「にゃーおー」と鳴き声が聞こえた。振り返ると、三毛猫がきょとんとした顔で私を見ている。

「お前が食べていたの。ほら、お食べ」

声をかけたが、一向に食べる気配がない。仕方なく家の中に引っ込む。障子を細く開けて覗くと、三毛猫はもくもくと食べていた。そして数週間後には、私の目の前でも平気で食べるようになった。

ある夕方、お勝手掃除をしていると「にゃーおー」と声がする。窓を開けると裏庭の板塀の上にその三毛猫がいた。おやっと思っていると、板塀の陰から子猫が3匹現れた。茶トラ1匹、三毛2匹。横一列に並んでこちらを見ている。まるで「これからご厄介になります」と言っているようだ。

私はあわてて母に相談した。

「どうする、4匹なんて飼えないぞ」

仕方なく猫たちが来ると追い払うようにしたが、空っぽの餌入れを見ると涙が溢れてくる。寒空の下、どうやって子育てをしているのだろう……。