樹木希林さんがワインを飲みながら「さよならの先」について語ったこととは――(写真提供:Photo AC)
誰もが経験する肉親や親しい人との別れ。「人がこの世を去ってからも、応援(エール)の思いはずっと生き残る。決して消えたりしない。まるでお守りみたいに」と話すのは、バースセラピストとして多くの人の誕生や死にかかわってきた志村季世恵さんだ。長年家族ぐるみで親しくし、晩年に寄り添った俳優・樹木希林さんからのエールは、その後の志村さんを支えてくれたといいます。その志村さん、「人にこんなに褒められた経験は後にも先にもない」と思わせてくれたのは希林さんだったそうで――。

さよならの先

樹木希林さんががんの治療を受けていたころ、私は講談社文庫から出版された『さよならの先』という本の原稿を書いていました。

ターミナルケアを通して知ったことは、死は終わりではない。

肉体は消えてしまうけれど、その人の愛や生きざまや大切にしてきたことは、身近な人にバトンのように渡されていく。

それは次への希望にもなり得ることを知っていただきたかったのです。

今まで私が書いた本は也哉子さんが読んでくださっていたけれど、希林さんは「也哉子は海外に行っているから、次の作品ができたときは私が先に読むよ」とおっしゃり、しかもいいタイミングで原稿の進行具合までチェック。

まるで編集者のようでした。