中日、戦力外2選手がトライアウトへ 現役続行への挑戦、そして妻の涙で気づいた思い

中日から戦力外通告を受けた近藤弘基(左)、杉山翔大【写真:荒川祐史】
中日から戦力外通告を受けた近藤弘基(左)、杉山翔大【写真:荒川祐史】

戦力外となった杉山、近藤が練習をともにし12球団トライアウトへ

 10月29日。雨のナゴヤ球場はひっそりとしていた。この日は休み。翌日からの秋季キャンプに備え、選手は静養していた。

 しかし、室内練習場からは乾いた打球音が聞こえてくる。中に入ると、10月1日に中日から戦力外通告を受けた杉山翔大が投げる球を近藤弘基が打っていた。ともに11月12日に舞洲で開催される12球団合同トライアウトを受ける。

「チームの練習がある日は7時から9時、休みの日は10時から正午まで。迷惑はかけられないので、みんながいない時間に練習しています」

 杉山が汗をぬぐった。通算207試合。2割1分3厘。6本塁打。45打点。2016年には104試合に出場し、正捕手争いから一歩抜け出しかに見えたが、去年と今年は1軍昇格なし。中日在籍7年。28歳。妻の春香さんと暮らしている。

「僕はクビになった翌日から毎日練習しています。まだ体も動くし、やれると思っています。NPBの球団に入るのがベストですが、独立リーグや社会人からのお誘いがあれば、話を聞いてみたい。ただ、家族がいるので、ダメなら就職するつもりです」

 杉山に一番の思い出を聞いた。

「今年ですね。結果を残しても、上に呼ばれず、歯がゆかったし、悔しかった。チーム事情でサードも守りましたが、どんどんキャッチャーの出場機会が減りました。『あれ?どうしてだ?』と不安や不信になる時期もありました。でも、ふと8月上旬に『今の自分は後輩からどう映っているんだろう』と思うようになったんです。そこからですね。もう1度自ら動いて、大きな声を出して、必死になったのは。色々な心境で野球をした今年が一番印象に残っています」

杉山は練習パートナーの近藤、妻に感謝「背中を押してもらいました」「救われました」

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