新型コロナワクチンの疑問に答える

日本がワクチン開発に予算をかけないのはどうしてなのか

高齢者のワクチン接種が始まったが…(C)共同通信社

 今月12日、65歳以上の高齢者への新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まった。全国3600万人を対象にしたワクチンは供給量の少なさから、開始できたのは全市区町村の1割弱だ。

 高齢者のワクチン接種は、2月中旬から始まった医療従事者向けと並行して実施されている。そのため、自身が未接種のまま高齢者の接種に当たる医師もいる。

 約40年にわたりワクチン開発に従事している奥田先生も、横浜市内のクリニックで新型コロナウイルス患者の診療にも当たるが、自身は未接種だ。

 神奈川県では2月25日に医療従事者向けの予防接種受け付けを締め切っている。だが、「接種の予定について連絡はない」と言う。

 国内ワクチンの開発も輸入も後手後手になった政府の対応による結果だ。

「WHOによると世界で数十種類を超える新型コロナウイルスワクチンが臨床試験を行いつつあるが、日本の国産ワクチンで臨床試験にたどり着いたのは2社のみ。そのためすべて外国産に頼らざるを得ませんが、世界的な需要に対して製薬会社の製造も間に合っていません。緊急事態下で自国第一主義になっているため、日本で安定的に供給されるのはまだ先です」

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奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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