より良い回復期病院を見極めるポイントとして、「リハビリ主治医の力量」が重要だとお話ししました。そのひとつとして、「患者さんが飲んでいる薬のコントロールを適切に行えるか」が挙げられます。睡眠障害や痛み、覚醒障害などがあってリハビリがうまく進まない場合、主治医が原因を把握して、適切に投薬を管理できるかどうか。それが患者さんの回復を左右するケースが少なくないからです。
当院の介護老人保健施設(老健)に入られた60代の女性は、脳梗塞を発症して治療が終わってから、13カ月にわたって意識障害が続いていました。ずっとボーッとしたままで、話をしてもろれつが回らず、ベッドから車いすに移動する際も重介助が必要でした。前医の回復期病院で「脳梗塞の影響だから仕方がない」と言われたうえに、転倒で脳出血も生じて治療したそうです。
しかし、脳の画像を見る限り、軽症の脳梗塞で、脳損傷もなく、1年間も意識障害が持続する病態ではありません。「これはおかしい」と思い、患者さんがそれまで飲んでいた薬をチェックしたところ、2種類の抗てんかん薬が大量に投与されていました。
正解のリハビリ、最善の介護