中谷美紀が主演舞台NY公演を書籍化 全てやりきった59日間「いとおしく、豊かな時間」

スポーツ報知
「町歩きしたり食事したり、気分転換になった」と、夫のティロ・フェヒナー氏の存在にも感謝した中谷美紀

 女優・中谷美紀(48)が昨年3月に行った主演舞台「猟銃」の米ニューヨーク公演の軌跡が、日記エッセー「オフ・ブロードウェイ奮闘記」(幻冬舎刊、5月22日発売)として書籍化される。単身ブロードウェーに乗り込んだ怒とうの59日間を収録。スポーツ報知の取材に「全てをやりきった」と告白した。(加茂 伸太郎)

 芸能生活30周年の節目に挑んだオフ・ブロードウェー公演の書籍化。中谷は「もうできないと全てをやりきった感覚です。書籍化したことで店じまいのような。演出家や自分自身が求める理想に近付こうとすると、命を削ることになる」と完全燃焼したことを明かした。

 働き方に対する価値観の違いを理解し、体調不良による公演中止も経験した濃密すぎる59日間。「思い返すと吐きそうになりますし、頭も痛くなります。二度とこんな体験はしたくないと思うのと同時に、ありがたく、貴重な体験でした。いとおしく、豊かな時間だったなと思います」

 文豪・井上靖の短編小説が原作で、自身が11年に初舞台初主演した作品。ある男の13年に及ぶ不倫を、妻、愛人、愛人の娘からの手紙によってあぶり出し、中谷はひとり三役を演じた。16年以来7年ぶりの再演で、米初上陸。鬼才フランソワ・ジラール氏(61)と三たびタッグを組み、世界的バレエダンサーのミハイル・バリシニコフ(76)と共演した。

 バリシニコフの一挙手一投足から、多くの学びと刺激を得た。「ご一緒させていただくにつれ、それを文字にすることが使命だと。役へのアプローチ、演じようとする情熱を記録する必要があると思いました」と説明。「大スターでレジェンドであっても『分からないことは分からない』と知ったかぶりをしない。柔軟にアジャストする姿を拝見していると、知らないことを恥じたり、恐れたりする必要はないなと感じました」と話した。

 「知識や経験を生かして右肩上がりでいければいいですが、それがこの職業の難しいところ。次の作品が来れば、またゼロからのやり直し」。創造と破壊を繰り返し、歩み続けた30年。「猟銃」をやり遂げ、次回作に向けて全てがリセットされるが、毎回、「子供のような好奇心」が学びの原動力になっている。

 「自分は何も持っていない人間。この先も素直な気持ちで学びたいし、チャレンジしていきたい」。謙虚な姿勢と探究心が中谷を支えている。

 WOWOW配信 〇…ニューヨーク公演の模様は「中谷美紀×ミハイル・バリシニコフ『猟銃』NY公演 密着ドキュメント付き特別版」として、6月にWOWOWで放送・配信される。中谷に密着し、稽古場の様子をリポート。中谷、バリシニコフ、ジラール氏による3人のスペシャルインタビューも届ける。

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