坂本勇人、セ記録・長嶋茂雄に王手 24打席ぶり安打から通算185度目猛打賞 

スポーツ報知
初回1死一塁、左前安打を放つ坂本(カメラ・宮崎 亮太)

◆JERA セ・リーグ 広島6―2巨人(20日・マツダスタジアム)

 巨人が広島に敗れ、引き分けを挟んで、今季2度目の3連敗。3位転落となった一戦で、存在感を発揮したのは坂本勇人内野手(35)だ。今季初の「3番・三塁」で出場し、初回1死一塁で24打席ぶりとなる安打を放つなど、3安打の固め打ち。今季初、通算185度目の猛打賞で、セ・リーグ記録の長嶋茂雄にあと1と迫った。試合は先発・井上温大投手(22)が初回に4失点の乱調。打線も12安打を放ったが、12残塁の拙攻で、7回に27イニングぶりの得点を挙げるのが精いっぱいだった。

 体勢は崩されなかった。0―4の5回2死一塁。坂本は力みのないスイングで内角130キロチェンジアップを捉えた。鋭い打球が広島・森下のグラブをはじいて三塁方向へ転々と転がる。投手強襲の内野安打でこの日3度目のHランプをともした。今季18試合目で初の猛打賞は、歴代3位で、セ・リーグ記録の長嶋茂雄にあと「1」に迫る通算185度目。代名詞の固め打ちで、復調の兆しを見せた。

 生みの苦しみから解き放たれた。初回1死一塁から高め145キロ直球を左前へ運び、24打席ぶりの安打。3回2死一塁では低めに沈むチェンジアップをバットに乗せて右前へ落とした。今季初の3番に起用した阿部監督も、トンネルを抜けて一気に加速した“まな弟子”に「1本打ったらこんなものなのかなと思って見ていましたし、これを少しでも継続してもらって、チームにいい影響を及ぼしてほしいと思います」という揺るぎない信頼を寄せた。

 わずか1週間で状況が一変した。12日・広島戦(東京D)の第1打席で2号ソロ。打率を3割2厘に上げた一発を最後に、快音が止まった。「一日一日で体調も変わるし、打撃も変わる」―。プロ18年間を支えてきた考え方が根底にあるからこそ連日、試行錯誤を続けてきた。

 18日の阪神戦前には二岡ヘッド兼打撃チーフコーチと甲子園のブルペンで、19日の広島戦(マツダ)のフリー打撃中には阿部監督に助言を受けながらバットを振る姿があった。11年ぶりの6打数無安打に終わり「何とかしないといけない」。自身の苦境を脱する3安打には、体の前で球をさばいて3方向に打ち分ける“らしさ”が詰まっていた。

 開幕から22打席連続無安打だった昨季も4月8日の広島戦でマツダのバックスクリーンにアーチをたたき込み、不調を脱出。終わってみれば打率2割8分8厘、22本塁打と健在ぶりを示した。通算2337安打は「いつああいうの(不調)が来るのか分からないから」と慢心なくバットを振り続けてきたからこそ、積み上げてきた数字だ。

 チームは6連勝で甲子園、マツダでの敵地6連戦に乗り込んだが、ここまで2分け3敗と波に乗りきれず。敗戦とあって、復調のきっかけとしたい安打と問われても「そうですね」と言葉すくなにバスへ乗り込んだ。だが、心配は無用。坂本の快音とともに、阿部巨人の勢いは戻ってくる。(内田 拓希)

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