NHK池田伸子アナ、伊藤海彦アナ「何を見たいんだろう」…大型生番組「ニュースーン」で視聴者と共有する3時間

スポーツ報知
「ニュースーン」ポーズはいまだ考案中。「N」と「S」を手で表現する池田伸子、伊藤海彦の両アナウンサー(カメラ・小泉 洋樹)

 4月からスタートしたNHKの大型生番組「午後LIVE ニュースーン」(月~金曜・後3時10分)の司会でタッグを組んでいるのが池田伸子、伊藤海彦の両アナウンサーだ。民放でも平日昼の情報番組がしのぎを削るなか「ニュースーン」はNHKのネットワークを活用した中継や、視聴者からのリアルタイムのメッセージを反映させるなど、約3時間の生放送で展開している。春から16年目に突入した同期入局の2人の素顔に迫った。(宮路 美穂)

 インタビュールームに現れた2人の間には、周囲を和ませるような、優しい時間が流れる。おっとりマイペースな池田アナに対し、朗らかで快活な空気をまとう伊藤アナ。オフでは「海ちゃん」「伸ちゃん」と呼び合う仲だ。しかし、ひとたび生放送の緊張感に身を投じれば、ともに同じ番組を届ける同志。池田アナが「海彦さんに引っ張ってもらっている」と信頼感をのぞかせると、伊藤アナも「番組の時間も長いですし、僕たちの疑問を記者に尋ねることがすごく多い。2人でかなり話し合っていますね」とチームワークに自信を見せる。

 「ニュースーン」は、各局で情報番組がしのぎを削る平日の昼に誕生した、NHKの目玉番組のひとつ。3月末まで「NHKニュースおはよう日本」を担当し、午後8時就寝、午前2時50分起床が当たり前になっていた伊藤アナ。「僕は朝の生活サイクルが結構、合っていたので何となく新年度も『おはよう』かなって思っていたんですよ。新番組は誰がやるんだろうね?とウワサしていた時に(司会就任を)言われたので『えっ?』て5回ぐらい言いました」と振り返る。「でも、僕も30代後半になってきたので、新しい自分や新しい伝え方にチャレンジしたいと思っていた。そういう意味では、すごくよかったなと思っています」

 池田アナはここ数年は週末のニュースが中心。「月~金曜日まで放送に出るというのは久しぶりで。『はい』と言うまでには少し考えました」というが「ただ、ニュースに携わる機会が欲しいという話はしていた中で、図らずもニュースにも、他の番組にも触れられるような枠組みで(出演)できることになった。去年までとはちょっと違う伝え方ができるのかもしれないし、自分にも課題を課さないといけない。平日夕方はとにかく情報が入ってくる。この時間帯で反応できることが増えるのかなと思いました」と語る。

 ともに「NHKニュース7」や「ニュースウオッチ9」など、NHKの看板報道番組でリポーターやサブキャスターを務めてきただけに、臨機応変にその場を感じ取る力は群を抜いている。「ニュースーン」では国内外で起こる事件、事故などに対し、NHKの取材力をフル活用。ときにはヘリを飛ばしたり、スマホからの中継に踏み切るなど、ネットワークを駆使した迅速なリポートが番組の要だ。中継を受ける2人の手元には原稿1枚だけ、ということもしばしばある。

 「原稿1枚で『中継あり』と書いてある。どういう場所なのか、いま何が行われていてどういう状況なのか、というのをフリーで聞いていく。聞く力も問われますし、聞かれる側も緊張感がある。そのリアル感は、やっていてもすごくしびれますね」(伊藤アナ)

 3時間の生放送では、視聴者からのリアルタイムの感想がメールやファクスで寄せられる。激励だけでなく辛辣(しんらつ)な意見にも目を通し、実際に厳しいメッセージを読み上げることもある。池田アナは「それがやっぱり一つ、この番組が大事にしていきたいところで…。一緒に(番組を)作ってくださる人がいる。みんなで一緒にこの時間帯に何を見たいんだろう、誰に話を聞きたいんだろうと共有する時間になる」と話すと、伊藤アナも「今までニュースをやってきて、視聴者からの声がリアルタイムで届いたことはなかった。温かい言葉に励まされ、元気をもらえながらやっている。たまにピリッとするご意見もちゃんと読みたい」と前を見据えた。

 入局から丸15年。大役を任された2人に伝え手としての信念について尋ねた。池田アナは「日常の延長線上にある放送を発信していくこと」と、暮らしと直結した体温の乗った言葉を届けることを大切にしているという。「見てくださる人の毎日の中で『ちょっと家族にしゃべってみよう』とか思ってもらえる発見がお届けできるといいなと思いますし、度量を持ったチームでありたい」と語った。

 伊藤アナは「ウオッチ9」のリポーター時代に、全国を飛び回った経験が糧になっていると明かし「疑問を大切にしたい」と決意。「アナウンサーって『しゃべる仕事』というイメージだと思うんですけど『ウオッチ9』のリポーターを通し『聞く仕事』だと感じるようになりました。現場の人たちの話を大事にしたいですし『野菜ってなんでこんなに(値段が)上がってるんだ?』という気づきみたいなものも大切にしながら、当事者から話を伝えてもらうっていうのを大事にしていきたい」と思いを込めた。

 09年入局組は、他のアナウンサーも含めて「ホッとする存在」という。気心知れた2人の相乗効果で、ますます「ニュースーン」を盛り上げていくつもりだ。

 ◆池田アナのイチオシ

 山歩きが好きです。平日が休みの時は平日にゆっくり登れたんですけど、「ニュースーン」が始まってからは行けていなくて。山には定期的に行きたいと思っているのと、もともと走るのが好きなこともあって、最近は土日には公園や坂を走ったりしています。

 名古屋局にいた時に、北アルプスや南アルプスに入る面白さを初めて知りました。ひとりで登って、山上でソロテントを張ることも。これまで登りがいがあった山は槍ケ岳。自分にとっても挑戦でした。

 山登りって本当にキツくて、登っている最中は「なんで登ってるんだ…」って思うんですよ。それでも、自分の足で、全身を使っての体を持ち上げる感じとか、頂上まで自分の足で来たんだという爽快感や面白さがあって。何よりも着いた時の景色は、登らないと見られない、ここでしか見られないもの。あの景色を見てしまうと、もう一回見たくなって。そのために頑張れると思っています。(談)

 ◆伊藤アナのイチオシ

 子供のころから大のヤクルトスワローズファンです。小学校2年の時から野球をやっていて、その当時、ヤクルトと巨人が強かったんです。ピッチャーの伊藤智仁選手(現・投手コーチ)がすごくカッコ良くて、僕も「伊藤」で投手だったので、すごく憧れたのと、チームとしても野村(克也)監督のID野球に、小学生ながら感銘を受けました。

 一時期まったく勝てない時代もありましたが、22年の優勝ではうれし泣きしました。「打倒巨人」という思いはありますね。

 今季は3月29日の開幕戦を神宮で観戦しました。「ニュースーン」が始まってからは行けていないんですが、毎試合、配信でチェックしています。5、6月には神宮に足を運ぶ予定です。公式Xでもヤクルトについて触れていますし、放送で球団愛について力説することもあります。僕は「好き」を仕事にするってことってすごく大事だと思っています。「好き」って周りを嫌な気持ちにさせないし、応援することこそがパワーになると思っています。(談)

 ◆池田 伸子(いけだ・のぶこ)新潟・十日町市生まれ。2009年度入局

 ▼所属局 熊本局→名古屋局を経て、16年度から東京アナウンス室

 ▼これまでの主な担当番組 「超絶 凄ワザ!」「NHKニュース7」「ファミリーヒストリー」「にっぽん百低山」(語り)

 ▼献立に苦戦 2歳の子のママで、育児と並行し「こんなに献立を考える人生はない」と、バランスのとれた食事作りを心掛けている。我が子の大好物はパン。「ホットケーキをちょっと厚めに焼いたり、蒸しパンを作っています」

 ◆伊藤 海彦(いとう・うみひこ)神奈川県生まれ、千葉県育ち。2009年度入局

 ▼所属局 山形局→静岡局を経て、16年度から東京アナウンス室

 ▼これまでの主な担当番組 「ニュースウオッチ9」「NHKニュース7」「NHKニュースおはよう日本」、BS「ダークサイドミステリー」

 ▼趣味 海外旅行、野球、サウナ、トレーニング

 ▼野球愛 小学校から高校卒業まで白球を追う毎日で、ポジションは投手。高校時代には千葉県大会の準々決勝でノーヒットノーラン寸前のナイスピッチングをしたことが自慢

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