「みんなで取った」坂本、逆転V3ランにバット放り投げた!巨人10戦ぶり3得点&9戦ぶりアーチ…山本浩二の大記録も超えた

スポーツ報知
6回2死一、二塁、逆転3ランを放った坂本は、喜ぶベンチに向かってガッツポーズ(カメラ・相川 和寛)

◆JERA セ・リーグ 巨人3―2中日(25日・東京ドーム)

 巨人が中日に逆転勝ち。3カードぶりの勝ち越しを決め、2位に浮上した。2点を追う6回に坂本勇人内野手(35)が逆転3ラン。チーム9試合ぶりの一発で、不名誉な9試合連続2得点以下を止めた。先発の菅野智之投手(34)は6回2失点で開幕から無傷の3勝目。7回に2番手で登板したドラフト1位・西舘勇陽投手(22)は1イニングを3人で片付け、開幕から10試合連続無失点。新人タイ記録となる10試合連続ホールドをマークした。

 視界から遠ざかっていく打球を、坂本は確信歩きで見届けた。放物線が左翼席に飛び込むとバットを放り投げ、右拳を一塁ベンチへ突き上げた。逆転3ランに白い歯をこぼしながらダイヤモンドを一周し「全然打てていなかったので、最高の結果となり本当に良かったです」と声を弾ませた。

 ひと振りでチームを救った。打線は5回まで柳の前に無安打と沈黙。6回、先頭・吉川がチーム初安打となる右翼フェンス直撃の二塁打をきっかけに、2死一、二塁の好機を作った。坂本は一度小さく息を吐いて打席に向かい、2球目の内角141キロ直球を腕をたたんで捉えた。チームは2安打で勝利をつかみ「打てない打てないって言われてますけど、野手みんな苦しみながら必死に頑張っているので。みんなでとった3点だと思います」。阿部監督は「状態は良くないけど、悪い中でもここって時に力を発揮してくれる人だと思っている」とここぞで仕留めた千両役者に最敬礼した。

 停滞ムードを一変させた。チームは試合前まで球団ワースト2位タイの9戦連続2得点以下で、17年6月以来、7年ぶりとなる8試合連続のノーアーチ。奮闘する投手陣を援護できず「ピッチャーはずっと頑張ってくれてるんですけど点がなかなか入らなかったので。チームにとっても僕にとっても大きな一本だったと思います」。重なった負のデータを払拭した。

 二岡ヘッド兼打撃チーフコーチとの“秘密特訓”がきっかけだった。フリー打撃前に2人でベンチ裏へ。昨季の映像に目を通しながら、フォームを見直した。直近5戦の計5安打は全て単打で「ごまかしながらバッティングしているなというのはあった」。膝をかがめて重心を低くした構えで12日の広島戦(東京D)以来、出場10戦ぶりのアーチをかけ「二岡さんといろいろ話して取り組んだことがすごくいい感じだった。これが継続できるかは分からないですけど、きょうはいい感じでしたね」とうなずいた。

 笑顔も戻ってきた。野球選手のカード付きスナック菓子で、本来キラキラで加工されているはずの坂本のカードがノーマル仕様になる不具合が発生。報道陣から“珍事”について振られると「輝けるように頑張ります」と笑い飛ばし、まだまだ成長するモチベーションに変えた。軽妙かつ愛のある返しこそ、背番号6の真骨頂だ。

 通算安打も2340安打で山本浩二氏を抜き、NPB歴代単独14位に浮上した。今季初のお立ち台で「いつも全然打たないんでたまには頑張って打ちます」。進化を続けるレジェンドはまだまだ、歩みを止めない。(内田 拓希)

 ◆高木豊Point 

捕手がインサイドに構えた瞬間、「行くな」と思ってニヤリとした。坂本の3ランの場面だ。そこまでの2打席は二ゴロ、右飛と、いずれも外の球を右方向に狙っているように見えた。が、3打席目の初球、外のスライダーに反応しなかった。そこまで投げられていない内角の真っすぐを待っているだろうと思ったら、まさにドンピシャ。1、2打席目にエサをまいておいて、大物を釣ったね。一発で仕留めるところが、さすがに千両役者。巨人らしい勝ち方は、チームの雰囲気をガラリと変えそうだ。

 ◆記録メモ 坂本(巨)の逆転3ランは対中日戦通算40本目の本塁打。これでセの5球団すべて40本以上の本塁打をマークした。対戦相手別の本塁打内訳は

ヤクルト63 DeNA57

広  島51 阪  神41

中  日40 そ の 他39

 巨人でセの5球団すべてから40本塁打以上は王貞治、長嶋茂雄、阿部慎之助、原辰徳、松井秀喜、高橋由伸に次いで7人目。

 ◆記録メモ 巨人が2安打ながら坂本の3ランで中日に3―2で逆転勝利。2安打以下で勝利したのは20年8月18日の阪神戦に2安打で1―0以来、4年ぶり24度目になる。2安打以下の勝利では3得点が最多で、40、44、66、68、99年に次いで6度目。過去の23度で本塁打を放ったのが8度あったが、3ランで勝利打点を挙げた(満塁本塁打はなし)のは66年の森昌彦に次いで坂本が2人目になる。

巨人

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