NHK大河「光る君へ」疫病を境にまひろと道長の関係にも変化が…関白の後継めぐる内裏の思惑も加速 第17回みどころ

スポーツ報知
NHK大河ドラマ「光る君へ」の第17回「うつろい」のワンシーン。疫病患者を救うため思案する藤原道長(柄本佑)に尽くす源倫子(黒木華)

 女優の吉高由里子が主演するNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜・後8時)の第17回「うつろい」が28日に放送される。

 大石静氏が脚本を手がけるオリジナル作品。大河ドラマではきわめて珍しい平安時代の貴族社会を舞台に、1000年の時を超えるベストセラー「源氏物語」の作者・紫式部/まひろの生涯に迫る。21日に放送された第16回「華の影」では、都にまん延する疫病をめぐって、まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)との運命の交錯が描かれた。

 石山詣での帰路、道綱(上地雄輔)からまひろと間違って夜這(よば)いされかけたさわ(野村麻純)は「私なんてどうでもいい子」とまひろを突き放す。もちろん、まひろにはなんの落ち度もないが、自分が「どうでもいい子」であることを思い知らされたさわの気持ちを思うと胸が苦しくなる。居場所のなさを憂う人間がいるということが、のちのまひろにどう影響を与えるだろうか。また、異母兄から夜這い未遂の話を聞き、人知れずホッとする道長もほほえましい描写だった。

 「枕草子」に記されている、定子(高畑充希)と清少納言(ファーストサマーウイカ)による、超有名シーン「香炉峰の雪は簾(すだれ)をかかげて見る」も満を持して実写化。かつて「枕草子」で読んだ時には、女房たちが居並ぶなかで清少納言が才気を示した描写のように思えたが、一条天皇(塩野瑛久)をはじめ、殿御がわんさか顔をそろえている場面に融合させるとは。実写化ならではの面白さがある。

 雪見から派生する雪遊びシーンの麗しさや、雅やかな笛や踊りに興じる後宮の極楽浄土のようなシーンを見せつつ、都では道隆(井浦新)の無関心ゆえに、疫病で下々の民が道端にガンガン打ち捨てられていく。その描写の対比がエグ過ぎるし、いまを生きる我々にはコロナ禍の記憶がよみがえってつらい。

 まひろは、字を教えていた少女・たね(竹澤咲子)の頼みで疫病患者が収容されている悲田院に急ぐが、目の当たりにしたのは疫病で次々に命を落としていく民の姿。たねの両親も、たねもあっけなく死んだ。第9回で散楽の直秀らが放免にあっけなく殺されたときも感じたが、この「あっけなさ」こそがとてつもなく空虚で、そして悲しい。石山帰りのさわが嘆いた「どうでもいい子」という呪いのような言葉が、形を変えてここに効いてくる。

 改心し“汚れ仕事”を買って出た道兼(玉置玲央)とともに悲田院を訪れた道長は、疫病にかかって倒れたまひろの姿を発見。気を失ったまひろを家に連れ帰り、夜通し看病する。道長の「生まれてきた意味は見つかったのか?」「逝くな。戻ってこい」のせりふもいいけど、一番ブッ刺さったのは「久しいのう」。この「久しいのう」にいろんな感情が詰まっていて、息がうまくできなくなった。

 まひろの父・為時(岸谷五朗)は病に倒れた愛人を献身的に看病し、最期をみとった経験があるだけに、2人のただならぬ関係には気づいたはずだ。そしてもうひとり「殿のお心には別の誰かがいる」ことに気づいた倫子(黒木華)。久々登場の猫・小麻呂を抱っこしながら不敵な笑みを浮かべる。どことなく「源氏物語」っぽい展開が始まる予感がして怖さ半分、ウキウキ半分というところだ。

 第17回では、疫病から一命をとりとめたまひろは従者の乙丸(矢部太郎)から道長が一晩中看病してくれていたことを知らされる。一方、道長は民を救うべく疫病患者を収容する小屋を建てようとしていた。内裏では道隆が体調を崩し衰弱し始め、定子は兄の伊周(三浦翔平)が関白に準ずる職につけるよう一条天皇に働きかけようとする。対する一条天皇の母・詮子(吉田羊)の策は…という政の転換点が描かれていく。

 独裁を満喫していた道隆の体調にいよいよ陰りが見え、後継をめぐり周囲も騒がしくなり始める。またまひろのところにも意外な来訪者が。この来訪は救いになるだろうか。なお、今回の放送は衆院補欠選挙の開票速報のため、本放送は10分後ろ倒しの午後8時10分から放送開始になるとのこと。録画派の視聴者はご注意を。(NHK担当・宮路美穂)

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