みなし上下分離実施へ 北鉄支援、県が同意

  ●石川、浅野川線、知事「地域に不可欠」

 北陸鉄道石川、浅野川両線への支援を巡り、馳浩知事は2日、金沢市など沿線4市町が導入を目指す「みなし上下分離方式」に同意した。鉄道施設の更新や維持にかかる費用の一部を自治体が負担する仕組みに石川県が参画を決めたことで、赤字続きの同社鉄道事業を支援する方向が確定。県や沿線市町の財政に影響を与えるのは必至で、今後は計128億円と試算される経費の自治体間の負担比率が焦点となる。

 沿線自治体は8月にも石川中央都市圏地域公共交通協議会を開き、みなし上下分離方式の採用を正式に決定する。会合までに128億円の支援内容を精査し、自治体の負担比率を詰める。

 2日は、村山卓金沢、田村敏和白山、粟貴章野々市、川口克則内灘の各市町長が県庁を訪れ、馳知事に「みなし上下分離方式」への賛同を求める要望書を提出。村山市長は北陸鉄道の2路線の利用者が年間250万人以上に上るとし「公共交通は地域の財産であり、協調して支援していきたい」と呼び掛けた。

 これに対して馳知事は「公共交通の維持は県民の利益になる」と指摘。鉄道は地域に不可欠な足であるとし、「前向きに対応したい」と同方式への参画に応じる意向を示した。

 北鉄の昨年度の鉄道事業は、1億8100万円の営業損失を計上し、20年連続の赤字となった。厳しい経営状況を受け、同社は単独での運行継続が難しいとして沿線自治体に支援を要請。昨年12月、金沢市が提案した「みなし上下分離方式」での支援に同意する考えを伝えていた。

 沿線自治体は今後、石川線の増便など利便性向上策を議論した上で、国の支援を得るための「特定事業計画」策定に着手する。

  ●北鉄「深く感謝」

 北鉄の宮岸武司社長は2日、みなし上下分離方式での支援が固まったことについて「持続的な鉄道線の運行に理解をいただき、深く感謝する」とコメントした。今後、宮岸社長は県側の求めに応じ、馳知事と面会する。

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